「不動産価格は2020年以降に下落する」…は杞憂!?

五輪・万博、都市再生“追い風”に

9月に開業した高層ビル複合施設「渋谷ストリーム」

 不動産価格は2020年以降に需給が崩れ、下落する―。かつて聞かれたこんな懸念は杞憂(きゆう)に終わりそうだ。完成が相次ぐ都市部のオフィスビルはいずれも満室で稼働。シェアオフィスの普及も手伝い、20年以降の完成物件まで契約が進んでいる状況だ。19年10月に控える消費増税や住宅ローン金利の先高観を背景に、住宅も転売より実需に支えられた動きが目立つ。25年の大阪開催が決まった国際博覧会(万博)も好材料だ。  三菱地所の吉田淳一社長は大阪での万博開催決定を受け「国内外からヒトやモノ、そして投資資金を呼び込む好機」と期待を示す。米ジョーンズラングラサール(JLL)リサーチ事業部の赤城威志部長も「交通インフラの整備を呼び水に、不動産開発が進む可能性がある。五輪を控えた今の東京と同じく、民間による都市再生が不動産市場の価値を高めていく」と見通す。  この結果として薄れたのが、関西圏で23年以降に警戒されていたオフィスビルの過剰供給だ。JLLリサーチ事業部の大東雄人アソシエイトディレクターは「“危機”は和らいだ」と読む。  そもそも、不動産価格は13年頃から全国的に上昇。取引は足元も活発な状況が続く。景気回復に伴い資金調達の環境が改善した効果が大きく、都市部ではオフィス空室率の低下や賃料の引き上げが加速。訪日外国人観光客向けの店舗やホテルの需要も高止まりする中で、再開発事業の進展で投資需要も急伸した。上場不動産投資信託(J―REIT)の寄与も目立つ。  国交省が公表した基準地価(都道府県地価調査)を見ても、18年7月1日時点の地価は27年ぶりの上昇に転じた。建設が相次いだホテルや店舗といった商業地がけん引。住宅地は27年連続の下落となったが、下落幅は縮小している。  海外からの不動産投資も回復してきた。“主役”はアジア勢。低い利回りでも長期保有することで、確実に利益を積み上げる手法だ。「最近は首都圏より割安感のある関西や地方での存在感が高い。対象もオフィス、商業・物流施設と多様だ」(大東アソシエイトディレクター)という。  また三菱地所の片山浩取締役は「オフィスビルは供給過剰が懸念されていたが、今後5年は堅調に推移しそうだ」と予測する。  それでも不透明な部分があるとすれば、生産緑地を巡る「2022年問題」だ。市街化区域内の農地で、農業を30年続けることと引き換えに相続税の納税猶予などが認められてきた。22年はその指定が外れ、地主は10年の指定延長か自治体への買い取り申請を選ばなければならない。もし土地を一斉に手放せば宅地への転用が進み、不動産価格に影響するリスクがある。  他方、米中貿易戦争が世界経済を停滞させ、めぐり巡って日本経済に影を落とすリスクもつきまとう。 (文=堀田創平)

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