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ホンダの分身、「ホンダ以外」で実力試す樹脂部品

八千代工業、電動車の軽量化ニーズ対応
ホンダの分身、「ホンダ以外」で実力試す樹脂部品

八千代工業は樹脂部品提案を強化する(鈴鹿工場のバンパー生産工程)

 八千代工業は自動車用樹脂部品の商品群を増やすなどで提案力を強化する。2026年3月期をめどに独自の樹脂製品を開発するほか、4輪車用バンパーなどの既存技術を生かした樹脂部品の営業活動を積極化する。親会社のホンダが30年に世界販売の3分の2を電動車にする計画を掲げるなど、業界全体で電動化などによる軽量化ニーズが高まっていることから、樹脂部品の対応を強化する。

 八千代工業はホンダ系サプライヤーで、燃料タンクやサンルーフを得意とする。加えて長年手がける塗装技術などにも強みを持つ。

 電動車は、車載電池が重いことから車体を軽くしたいというニーズが大きい。同社は軽量化に貢献する素材として樹脂製部品の需要が拡大すると見る。

 汎用的な部品でなく、同社の技術を生かした付加価値のある樹脂部品を開発する考えだ。開発を前に、まず既存設備での樹脂部品の成形や塗装の提案に取り組む。

 ホンダ向けでは、タイの2輪車樹脂部品の受注拡大を目指すほか、国内は鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)や、柏原工場(埼玉県狭山市)の成形機を生かし、ホンダの新機種の外装樹脂部品を手がけられるよう提案を積極化する。

 ホンダ向け以外では、18年5月からダイハツ工業の小型車「トール」向けバンパーの生産を始めた。実績を生かし、幅広い自動車メーカーからの受注獲得につなげていく。

 山口次郎八千代工業社長は「さまざまな可能性がある中で、当社の技術がどこまで通用するか知ってもらいたい」と、ホンダ以外との取引を通じて技術向上も目指す。樹脂部品を燃料タンクやサンルーフに続く事業の柱にしていきたい考えだ。
鈴鹿工場で手がけるダイハツのトール用フロントバンパー
日刊工業新聞2018年12月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
八千代工業はホンダから完成車生産を受託していたため、ホンダ系部品メーカーの中でも、「分身」ともいえる密接な関係です。ただ、今年4月に完成車事業をホンダに売却しています。

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