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若手研究者に朗報、科研費の新規採択者は1.2倍に

文科省19年度予算と18年度2次補正予算で計上へ
 文部科学省の2019年度予算案・18年度2次補正予算案で、科学研究費助成事業(科研費)は横ばいが続いていた近年に比べ大幅増となった。前年度当初予算2286億円に対して計136億円増となる。若手支援の種目を強化することで、若手研究者の新規採択者は、約1・2倍になる見込みだ。

 科研費の増額は研究者のキャリアアップに応じて支援を続ける「科研費若手支援プラン」に基づくものだ。40歳未満の若手向け種目のうち「若手研究」が6300件から1500件増で、採択率は約30%から40%近くなる見込みだ。「研究活動スタート支援」は800件から400件増。研究室立ち上げ時に柔軟に対応するため、複数年度にわたって使えるよう新たに基金化する。

 「基盤研究(B)」は3000件から300件増。キャリアアップ支援の点で、1万2200件から600件増とする「同(C)」よりも重視する。若手参加が必須の「国際共同研究強化(B)」は200件から40件増。18年度の応募が予想以上に多かったため、補正予算により追加採択する。若手の研究費支援による科学技術力向上が期待される。
日刊工業新聞2018年12月24日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
今秋、祈る思いで科研費に応募書類を提出した若手にとって、明るい話題が飛び出した。19年度は若手支援がこの科研費に加え、大学の人事マネジメント改革推進と、両輪で進められる。また今回は補正予算を本予算と違う形で設計する様子が興味深い。18年度補正予算は18年度中(2019年3月末まで)に使う必要があるため、「国際共同研究強化」など年度内の追加採択で活用するのが一つだ。とはいえ、研究費を年度内に使い切るのは難しいしもったいない。そのため、年度を越えて活用できる「基金」に変えてしまうという策がある。「研究活動スタート支援」の新たな基金化は、それにはまった形だ。「本予算は前年度比+86億円、補正予算でさらに+50億円」という状況は、こんな形での施策の設計につながっている。

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