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iPSだけじゃない!三菱ケミカル期待の「Muse細胞」が再生医療に

表皮水疱(すいほう)症で探索的臨床試験を開始
三菱ケミカルホールディングス(HD)傘下で再生医療を手がける生命科学インスティテュート(LSII、東京都千代田区)は20日、表皮水疱(すいほう)症を対象疾患としたMuse細胞製品「CL2020(開発コード)」の探索的臨床試験を開始すると発表した。Muse細胞には、水疱などの罹患(りかん)面積を縮小させる効果が期待される。まずは静脈内投与時の安全性および有効性を確認する。

 静脈内に投与するだけで傷害部位に集積、生着して組織を修復するといわれるMuse細胞を、表皮水疱症の罹患部分の治療に活用する。同細胞が皮膚を構成する各種細胞へと分化すれば、やぶれた水ぶくれや潰瘍となってしまった皮膚が正常化するという。

 同社は現在、急性心筋梗塞と脳梗塞でもCL2020の臨床試験を実施している。

 木曽誠一社長は「どの疾患を対象にするかはわからないが、20年には再生医療製品として申請し、21年に承認を得たい」と話している。
日刊工業新聞2018年12月21日掲載
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
Muse細胞は、ES細胞やiPS細胞に次ぐ第3の多能性幹細胞として注目されています。静脈内に投与するだけ、というのが驚きです。東北大学の出澤真理教授らが発見しました。3月には、大学で心筋梗塞のウサギにMuse細胞を静脈投与し、心臓の組織や機能を回復させるという実験も報告されています。

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