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パナソニックのベトナム向け浴室、シャワーとトイレに壁ありのワケ

住設に参入
パナソニックのベトナム向け浴室、シャワーとトイレに壁ありのワケ

シャワーとトイレを壁で隔てたユニットバス(イメージ)

 パナソニックは2019年内にベトナムで住宅設備事業に参入する。現地の住宅メーカーと提携し、同国向けにシャワーとトイレを備えた「ユニットバス」(浴室)を開発した。あらかじめ主要部品を生産し、現地で組み付ける工業的な工法を採用した。ベトナム人の所得向上と将来の人手不足を見越し、施工しやすい住設をいち早く提案して普及を促す。

 パナソニックは現地の住宅メーカーと事業提携の覚書を結んだ。19年は100棟弱の住宅にユニットバスを供給する。ベトナムの住宅は日本のように湯をためる浴槽はなく、シャワーとトイレが同室にあるのが一般的。パナソニックは提携先と一緒に、シャワーとトイレを壁で隔てた使い勝手の良いユニットバスを提案する。

 ベトナムの住宅は柱や梁(はり)といった骨格の寸法精度が悪い。そこで提携先の住宅メーカーと協力してユニットバスを設計し、現地の住宅に施工しやすいよう工夫した。手作業でタイル張りする従来型の施工よりも工期が短い上、品質が安定するため水漏れなどが減るという。

 パナソニックは日本の1960―70年代のように、ベトナムなどの東南アジアで住宅や住設の工業化が進むとみる。主要部材を工場で生産する工業化住宅や住設は、本格的な普及期に現場の技能者不足へ対応できるほか、施工が技能者の力量に左右されにくく品質の高い製品を供給できる。

 同社の住設事業の海外売上高は約50億円と、事業全体の売上高の1%強にとどまる。一方、住宅の近代化と人手不足が進む中国や台湾では事業が軌道に乗りつつある。次の展開として、現地で有力な提携先が見つかったベトナムに力を注ぐ。
日刊工業新聞2018年12月20日

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