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中小企業の災害対応、官民一体で支援

経産省・中小企業庁「中小企業強靱化法案」提出へ、防災・減災を後押し
中小企業の災害対応、官民一体で支援

今年は大規模な自然災害が多発した(9月の台風21号)

 経済産業省・中小企業庁は頻発する自然災害に対応するため、中小企業の災害対策強化を目的とした「中小企業強靱(きょうじん)化法案」(仮称)を2019年1月にも召集される通常国会に提出する方向で検討に入った。法案には事業継続計画(BCP)の策定など災害に対する事前対策を行った中小企業に、インセンティブを与える施策が盛り込まれる見通し。インセンティブ案としては損害保険料の割引などが挙がっている。自然災害に対する中小企業経営の対応力強化に向けて官民一体となって支援に乗り出す。

 企業庁の有識者による研究会は19年1月上旬にも中小企業の防災・減災対策を後押しする同法案の骨子(案)をまとめる予定。早ければ同年3月にも国会に法案を提出する。

 詳細は研究会で詰めるが、中小企業の自然災害に対する事前対策の意識啓発が柱となる。BCPの策定などを行った中小企業のインセンティブとしては、損害保険料の割引のほか、政策金融機関による低利融資、補助金、税制優遇などが案として挙がっている。

 18年は西日本豪雨や北海道地震、台風19、20、21号など大規模な自然災害が発生し、中小企業や小規模企業に多大な被害を及ぼした。企業庁は被災中小企業に対し、政策金融機関による低利融資や補助金などを活用し、中小の復旧・復興に向けて支援してきた。

 ただ、財源には限りがあり、すべての被災中小企業を事後的に救済するのは難しい。企業庁は中小企業のBCP策定を支援するなど事前対策を後押ししてきたが、こうした取り組みは一部の中小企業にとどまっていた。新たな法案により中小の対策を後押しする。
日刊工業新聞2018年12月6日

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