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セブン、ユニクロ「トップ会談」で合意か

ビッグネーム同士がタッグ、ネット通販の新枠組みを模索
セブン、ユニクロ「トップ会談」で合意か

柳井氏(左)と鈴木氏

 セブン&アイ・ホールディングスとファーストリテイリングが物流や販売、商品など包括的提携に向けた協議に入ったことが分かった。両社ともネットと実店舗を組み合わせたオムニチャンネルを今後の経営の柱に据えている。ファストリはセブンの店舗網を活用し商品の受け取りや返品ができる体制を構築、セブンもファストリの商品・ブランド力を活用しセブン専用商品を開発すればネットへの集客になる。ビッグネーム同士のタッグがネット時代の新しい枠組みを構築するか。

 年内にも実現を目指す今回の提携協議はセブンのインフラ活用が軸だ。ファストリは東京・有明に大和ハウス工業と大規模な物流センターの建設に着手、ネットで購入した商品の即日配送や店舗運営や在庫管理の改革をまず首都圏で着手する。

 これに合わせファストリは複数のコンビニと商品の受け取りで交渉を進めているとされるが、受け取り場所を多様化させ、顧客の利便性を高めるにはセブンの店舗は絶対に外せないピースだからだ。

 セブンも全国1万8000店のコンビニ店舗を自社のネット通販の受け取り拠点化とするなどオムニのインフラ整備を始めている。提携でユニクロの商品が受け取れるようになればセブン自体の集客力も高まる。

 「ネット通販時代は商品力がモノをいう」(ある大手シンクタンク)。ネット通販1兆円の売上高を目指すセブンはネットへの集客も高めたい。そのためバーニーズジャパンの完全子会社化、インテリア雑貨店を展開するバルスへの出資など、ネットや店舗に乗せる商品についても布石を打ってきた。

 衣料品で国内最大の売上高があるファストリの商品力は抜群。ネットや店舗にセブン専用商品などユニクロの商品が乗れば強力な集客装置になる。相互の海外店舗を活用し国内と同じような戦略の展開もありそうだ。

 「今回の提携は、セブン&アイの鈴木敏文会長とファストリの柳井正会長兼社長のトップ会談で決まった可能性が高い」とあるセブン&アイの関係者は話す。かねて親交のあったセブン鈴木氏とやファストリ柳井氏がオムニを軸にして思惑が合致した格好だ。

 しかし、その背景にはローソンがアマゾンと提携したり、楽天と提携に向けた最終調整に入ったという一部報道があるなど「全カテゴリーを扱うネット企業と提携戦略を進めるローソンと違うセブン流ネット戦略を内外に示したかった思惑がある」(同)という指摘もある。セブン、ファストリのタッグはどんなネット通販の絵姿を見せてくれるのか―。
日刊工業新聞2015年08月03日3面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
セブンとユニクロはどんなネット通販の形を見せてくれるのでしょうか。それにしても、こうした大きな提携はトップ同士が「よしやりましょう」と合意してくれないと、現場からの積み上げではなかなかうまくいかないと聞きます。流通業界のカリスマはやることが早いです。

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