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“石の紙”ベンチャーが初のM&A、脱プラスチック提案力高める

TBM、植物由来樹脂に照準
 TBM(東京都中央区、山﨑敦義社長、03・3538・6777)は、バイオマスプラスチック(バイオ樹脂)の機能を高める改質剤技術を持つBioworks(バイオワークス、京都府精華町)を買収した。過半数以上の株式を取得し、子会社化した。TBMは石灰石を主成分とする素材にバイオワークスの技術によるバイオ樹脂を配合し、2019年に石油由来成分ゼロの成形品の供給を始める。使い捨てプラを減らす“脱プラスチック”に貢献する素材として提案する。

 TBMは石灰石を主成分とした素材「ライメックス」を開発し、紙代替品やシート材を製造、販売する。バイオワークスの設立は15年、資本金は3億円。今回の買収額は非公表。TBMにとって初の企業買収となる。

 ライメックスの材料の半分以上は石灰石だが、石油由来の樹脂も混ぜている。この石油系樹脂を植物由来のポリ乳酸を原料とするバイオ樹脂に置き換える。熱や衝撃に弱いバイオ樹脂の弱点を補う改質技術をバイオワークスが開発した。

 両社は新素材を使って包装材、カップ、食品トレーなどを開発する。石灰石とバイオ樹脂が原料なので放置しても環境への影響が少ない。

 ライメックスは水や森林資源を使わずに紙代替品をつくれるため、企業が名刺などで採用している。石油由来プラの代替品としても注目され、大日本印刷や凸版印刷、三菱鉛筆などが11月、TBMに合計31億円を出資した。
日刊工業新聞2018年12月6日

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