環境事業のお金を回す債券「グリーンボンド」とは?

【連載#9】「脱炭素経営 パリ協定時代の成長戦略」

戸田建設の浮体式洋上風力発電(五島市沖)

 芙蓉総合リースは9月、電気全量の再生可能エネルギー化を目指す国際組織「RE100」に加盟した。世界で156社、日本からは13社が参加する中で、日本の総合リース会社として初の加盟だ。  製造業と比べるとリース業の電力消費は少ない。また二酸化炭素(CO2)排出をゼロにする“脱炭素”に向けた具体策があるわけでない。経営企画部の水谷高副部長は「脱炭素を目指す他社と悩みを共有したい。課題解決に我々の出番があるはずだ」と加盟の理由を話す。  同社は各地で合計10万キロワット以上の大規模太陽光発電所を稼働させた。6月には蓄電池ベンチャーのエクセルギー・パワー・システムズ(東京都文京区)に資本参加し、11月には環境事業に資金を充てる債券「グリーンボンド」を発行した。環境・エネルギー事業に幅広くかかわっており「ノウハウが積み上がり、金融機能で脱炭素を目指す顧客のニーズに応えられる」(水谷副部長)と自信を示す。  脱炭素化にはインフラを作りかえるほどの巨額の投資が必要となり、金融サービスの出番がある。同社は自ら脱炭素の課題を経験し、ニーズに応えられるサービスの提供でビジネス機会を獲得する。  金融機関や自治体以外の事業会社として初めてグリーンボンドを発行したのが戸田建設だ。2017年12月、洋上風力発電所の事業費に充当する100億円を発行した。  同社が開発した風力発電は、海底に固定しない浮体式。海上で傾いても起き上がって発電を続ける。13年に日本初となる商業規模の浮体式風力発電1基を長崎県五島市沖に設置し、実証運転を始めた。増設して発電事業を開始しようとグリーンボンドで資金を調達した。日本で洋上風力の普及は鈍いが、内藤欣雄執行役員は「先に実績をつくってコストを下げる」と先行者メリットを追求する。  同社は工事中のCO2排出量を50年に1990年比80%削減する目標を策定し、NGOが主導する「サイエンス・ベースド・ターゲッツ(SBT)」からパリ協定と整合する目標として認定された。日本の建設会社として初だ。  価値創造推進室の樋口正一郎副室長は「洋上風力やSBTを人材確保にもつなげたい」と話す。建設業は景気による仕事量の浮き沈みが激しく、洋上風力は雇用の安定した受け皿になる。脱炭素にかかわる「日本初」「業界初」は企業姿勢として分かりやすく、優秀な人材の採用も期待できる。

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