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男性の育児休業、“取得者数”ばかり気にしていませんか?

1カ月以上の休暇取得を促す積水ハウス、育児経験を顧客への提案にも役立てる
男性の育児休業、“取得者数”ばかり気にしていませんか?

育児休暇を取得する積水ハウスの男性社員

**育児休業、男性社員に1カ月以上取得促す
 積水ハウスは2018年7月、男性社員に1カ月以上の育児休業を完全取得させると宣言した。3歳未満の子どもを持つ男性社員1371人を対象に9月から同制度は始動。女性の活躍を基本としたダイバーシティー(人材の多様性)推進が狙いだ。

 これまでも男性社員が有給で育児休暇を取る「ハローパパ休暇」を導入し、数日だが全員が取得する環境は整っていた。伊藤みどり執行役員ダイバーシティ推進部長は「本質に迫るには、もっと期間を長くする必要があった」と強調する。

 仲井嘉浩社長も理解を示した。5月に出張でスウェーデンを訪れた際、男性の“イクメン”ぶりが当然な環境なのに驚き、帰国後すぐに「男性も長期育児休暇が必要だ」と新制度の整備を決めた。

 新制度導入に伴い、育児休業する男性社員は仕事を見直し、長期視点での成長計画を立てる。職場の上司や同僚も長期休暇が前提の仕事分担を検討し、助け合う風土を培う。在宅支援やキャリア育成プログラムの支援制度も整備。同制度を通じて家族と得た体験を、顧客に家を売る提案にも役立ててもらう。

 1カ月連続育児休暇は、11月20日時点で16人が取得した。

 現場営業を経て10年以上にわたりダイバーシティーに携わってきた伊藤執行役員は「何のために推進するか、考えてほしい」と訴える。仕事と育児を両立する働き方改革や女性のキャリアアップに絶えず取り組むことで会社を活気づけていく。
日刊工業新聞2018年11月28日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
男性の育児休業取得率は2017年度で5.14%。上昇傾向とは言え、まずは取得者の数を増やすという姿勢もまだまだ重要です。男性の育児参加を促すために独自の休暇制度を設ける企業も徐々に増えているようですが、制度利用者の伸び悩みが課題。制度の見直しや認知度向上など、社内の機運醸成に力を入れる企業は今後も増えそうです。

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