動揺広がる日産系部品メーカー、脱日産依存の進捗問われる

ケイレツ解体の発端・日産リバイバルプランから19年

ケイレツ代表格だったカルソニックカンセイはM&Aで2兆円企業に

 日産自動車に部品を供給する部品メーカー(サプライヤー)へも、カルロス・ゴーン容疑者逮捕の影響は必至だ。日産は1999年に再生計画「リバイバルプラン」を発表して以降、従来の資本関係をベースにした系列部品メーカーとの関係を見直し、出資を引き上げて“ケイレツ”を解体してきた。ついに2017年にケイレツ代表格で約40%の株を保有していたカルソニックカンセイ株もファンドに売却した。部品各社は約20年かけて日産依存を軽減してきたが、それでも日産との取引は多い。最後のゴーン・ショックは、脱・日産依存の進捗と各社の成長性を問うことになる。  日産自動車が21日、代表取締役会長のカルロス・ゴーン容疑者も出席して同日開催する予定だったサプライヤー会合を中止にしたことが分かった。サプライヤー会合は1年に複数回開かれるが、今回の会合はその中でも最も重要な位置付けで、ゴーン容疑者自らが日産や仏ルノー、三菱自動車との3社連合の戦略を説明する計画だった。ゴーン容疑者逮捕が事業運営にも影響を与え始めた格好で、部品サプライヤーの間で動揺が広がっている。  サプライヤー会合では、完成車メーカーが自社の調達購買や生産、販売、開発計画など事業戦略を部品メーカーに説明する。部品メーカーにとって、設備や研究開発投資などの計画を策定するための情報を収集する重要な場だ。今回は21日、日産の追浜工場(神奈川県横須賀市)で開催し、ゴーン容疑者のほか、購買担当の山﨑庄平常務執行役員らが出席する予定だった。  海外メーカーを含め日産と取引する上位数十社の大手サプライヤーが参加することになっていた。今回の会合は中止し、別日に延期するとみられる。  日産と取引する部品メーカー幹部は「(ゴーン容疑者逮捕で)すぐにマイナス影響は出ないと思うが、ブランド毀損(きそん)で販売減という事態にならないか懸念している。サプライヤーの間で動揺が広がっている」と明かす。 (日刊工業新聞2018年11月22日掲載から一部抜粋)  日産自動車への供給が多い部品メーカー6社の2018年4―9月期連結決算が13日、出そろい、5社が前年同期比で営業減益となった。各社は新車立ち上げに伴う開発費用が負担になったほか、北米や国内などの市場減速が業績に響いた。下期以降は新車の販売や新規顧客との取引などプラス要因はあるものの、人手不足による労務費の増加や通商問題の影響など懸念材料もある。  ヨロズが13日に発表した18年4―9月期連結決算の営業利益は同17・7%減の25億円だった。北米市場でのスポーツ多目的車(SUV)への需要シフトで乗用車の需要が落ち込み受注が減った。佐草彰副社長は「特に主要取引先の米国での生産減が響いた」とし、19年3月期の連結業績予想の売上高と各利益項目を下方修正した。  ほかの各社も減産影響が大きい。河西工業は北米市場の成長鈍化に加え、「輸出車の減産などで国内市場が芳しくなかった」(渡辺邦幸会長)。計画外の開発費用も発生したことで、国内事業の営業損益が6億2400万円の赤字となった。それを受け、19年3月期業績予想の営業利益を期初予想から同23・1%減の100億円に下方修正した。  アルファも輸出向けの減産影響を受けた。ユニプレスは減産の影響があったものの、生産の合理化などを図り営業利益は同27・9%減の97億円となった。  一方、パイオラックスはアジア市場が好調で営業利益が同2・1%増の52億円。島津幸彦社長は「三菱自動車などと新たな取引が増え、タイやインドネシアで大幅増益だった」と分析する。当期損益が約1億円の赤字となったファルテックは、ミリ波レーダーカバーなど戦略商品への投資や英国子会社の生産性改善を進める。 (日刊工業新聞2018年11月14日掲載)  カルソニックカンセイは22日、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の自動車部品部門のマニエッティ・マレリを約62億ユーロ(約8060億円)で買収すると発表した。カルソニックカンセイを傘下に持つ米投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の日本法人、KKRジャパン(東京都千代田区)の平野博文社長は同日、日刊工業新聞の取材に応じ、規模拡大とともにコスト削減にも取り組み「2021年までに営業利益率で業界トップ10以内を目指す」との方針を示した。  2019年6月までに株式100%を取得する予定。カルソニックカンセイ親会社のCKホールディングスの商号を「マニエッティ・マレリCKホールディングス」に変更し、経営統合する。  今回の統合で、カルソニックカンセイの売上高は約2兆円に迫る。今後は異なる地域や顧客に向けて、調達網や販売網を相互活用する。開発面では両社の技術を融合し、コネクテッドカー(つながる車)や自動運転向けの次世代コックピットシステムなどを開発する。  次世代製品の開発に加え、人員やコストの削減も検討するなど「常に筋肉質であるべきだ」と収益性を高める戦略を平野社長は強調した。  関係者によると「FCAは構造改革の中で本社の余剰人員がマレリに移っている」という指摘があり、同部門の体制が肥大化していた可能性がある。そのため、同社との統合によりどこまでコストなどを見直し、収益性を高められるかが課題になる。 (日刊工業新聞2018年10月23日掲載) カルソカン、独ボッシュ・米JCI出身者を社長に招聘  カルソニックカンセイは5日、4月1日付で米ジョンソンコントロールズ(JCI)出身のベダ・ボルゼニウス氏(61)を社長兼最高経営責任者(CEO)に迎え入れる人事を発表した。森谷弘史社長(60)は代表権のある会長に就く。  ボルゼニウス氏はドイツ出身で、独ボッシュに約20年間勤務した後JCIに入社。アジア太平洋事業のヴァイス・チェアマンを務めたほか自動車部門において中国やドイツ・米国で要職を歴任した。  海外経験が豊富なボルゼニウス氏を社長に招き、日産自動車以外の取引先を開拓するなど、2021年度を最終年度とする中期経営計画の達成に向けた取り組みを加速させる。森谷氏は会長として経営を支援する。カルソニックは17年に日産から独立し、米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の傘下に入った。 (日刊工業新聞2018年3月6日掲載)  「活躍の場が大いに増える。チャンスをつかもう」。クラリオンの川端敦社長は26日の午後、さいたま市内の本社で仏フォルシア傘下入りについて、従業員を前にこう説明した。技術・販路の両面で、自社の競争力を最大化できると確信しているからだ。  再編の背景にはCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ぶ自動車業界の新潮流がある。中でも米グーグルなどIT大手が、乗り物のサービス化「MaaS(マース)」を収益源にしようと動きだしており、トヨタ自動車をはじめ完成車メーカーが対応を余儀なくされている。完成車メーカーの開発案件がふくれあがる中、これまで自社で主導してきた開発を部品メーカーに任せる傾向が強まってきた。部品メーカはより高い技術提案力が求められている。  こうした中で存在感を示すのが独ボッシュや独ZF、独コンチネンタルなどのメガサプライヤーだ。巨大資本を武器にM&A(合併・買収)でセンサーやソフトウエアなど次世代分野に必要な技術を取り込む。一方で、非中核事業は他社に売却し、時代の変化にスピーディーに対応する。  ある日系大手ティア1メーカーの首脳は、日本に同業の部品メーカー数が多すぎる課題を挙げる。「欧米のメガサプライヤーだけでなく、中国企業も急速に力を付けている。我々が生き残るためにはM&Aや、例えば金型の開発や生産など一定の領域で協業するなどケイレツの垣根を越えた連携が必要だ」と再編の重要性を説く。  自動車産業の変革は部品メーカーのビジネスモデルに変化を迫っている。自社の将来を見据え、国やケイレツといった枠組みを超え、誰と手を組むべきなのか。部品メーカーは生き残りをかけ選択する時期にきている。 (日刊工業新聞2018年10月29日掲載から一部抜粋)

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