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瞳はなぜ丸い?

京都大が仕組みを解明した
 京都大学ウイルス・再生医科学研究所の永楽元次教授と科学技術振興機構(JST)さきがけの奥田覚専任研究者らは、瞳の丸い形ができる仕組みを解明した。丸い形の元となるカップ状の「眼杯組織」を作るとき、一つひとつの細胞が組織の変形度合いを感じながら微調整を行うことがわかった。試験管内での器官の形作りの操作へ応用が期待でき、再生医療の発展につながる。

 研究グループは、細胞の増殖や変化で複雑な組織を形作るときの立体的な動きを予測するコンピューター・シミュレーション技術を開発した。この技術で眼杯組織のでき方を予測した後、マウスES細胞(胚性幹細胞)から眼杯組織を作り、シミュレーションが正しいことを確かめた。

 まず、脳から突出した神経組織の先端が網膜組織へ分化し、内側にへこむ。それにより網膜組織と周辺との境界部分の細胞が無理に曲げられる。曲げで生じた力を境界部分の細胞が感じ取り、網膜組織をさらに内側へ押し込む流れだ。研究成果は米学術誌サイエンス・アドバンス電子版に掲載された。
マウスES細胞で眼杯組織の仕組みを確認。1番右にカップ状のへこみ(京大提供)
日刊工業新聞2018年11月22日

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