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業績影響どこまで…スバルを襲う“逆回転”

完成車検査不正で10万台の追加リコール
業績影響どこまで…スバルを襲う“逆回転”

会見する(左から)加藤洋一専務執行役員、中村知美社長、岡田稔明専務執行役員、大崎篤常務執行役員

 SUBARU(スバル)の信頼低下が止まらない。5日、ブレーキ検査など完成車検査で不正があった問題で約10万台を追加リコール(無料の回収・修理)すると発表した。2019年3月期の世界生産計画も従来計画から約2万台下方修正する。1日にはエンジン部品の大規模リコールを発表し、安心・安全をうたうブランドイメージの悪化は避けられない。信頼回復に向けた改革の実行が急務だ。

 今回、追加リコールするのは1月―10月に国内生産した全車種約10万台。10月中旬にブレーキ検査などの不正に関し、17年12月に生産した約6000台のリコール実施を発表していたが、その後の国土交通省の立ち入り検査による従業員の発言から、18年の9―10月まで不正が続いていた可能性が判明。追加のリコールに踏み切った。リコール費用は約65億円を見込む。中村知美社長は「再びご心配をおかけし、申し訳ない」と謝罪した。

 完成車検査問題の再発防止などに向け生産を抑制する。世界生産は従来計画比2万200台減の103万5800台に修正した。内訳は国内生産が同1万5900台減の65万6100台、米国生産が同4300台減の37万9700台となる。

 世界販売は従来計画比で5万9300台減の104万1100台に見直す。地域別の内訳は精査して公表する。19年3月期連結業績は減収減益を見込む。エンジン部品の不具合によるリコール費用に約550億円計上することが響く。

 スバルはここ数年で世界販売の急拡大に比例し品質問題が増加傾向にあった。一連の完成車検査問題やエンジン部品の大規模リコールも、生産が逼迫(ひっぱく)した状態が続き、法令順守や品質強化に手を回す余裕がなかったことが背景にある。中村社長は「急成長による歪みや気の緩みがあった。品質を担保した開発、生産、購買、サービス体制を徹底していく」と信頼回復に向け決意を述べた。

(文=下氏香菜子)

 


 
日刊工業新聞 2018年11月6日
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
ここ数年の販売急増がかえって現在の品質費用の増加につながり、これまでの好調さが逆回転して襲ってきたように見えます。ただ、この逆回転を止めるのも、今後の商品力しかありません。

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