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【今週のリケジョ】“しんどい農業”変えたい

井関農機 徳安美沙都さん
 人工知能(AI)を活用したトマトの養液土耕システムなど幅広く手がける、井関農機の徳安美沙都さん(24)。国内の農業は今まさに転換期にあり、生産性向上が求められる。「農家のお客さんに『うまくいった。ありがとう』と笑顔でお礼を言われることが仕事のやりがい」と、瞳を輝かせる。

姿勢に共感


 岡山大学農学部を出て、井関農機に入社しました。出身は長崎県南島原市。実家は農家で、コメはもちろん、ジャガイモやミカンなどと幅広くやっていたので、昔から植物への親しみはありましたね。農学部では作物学の研究室を選び、塩害に強いコメ品種の遺伝子研究に携わりました。

 井関農機を選んだのは「農業はしんどい」イメージを何とかして変えたい思いがあったのと、農業機械メーカーの中でも、農業応援団や営農支援の取り組みを多数手がける井関の姿勢に共感したのが決め手でした。農業女子プロジェクトの活動にも積極的ですしね。

 現在は茨城県つくばみらい市にある「夢ある農業ソリューション推進部」で養液土耕システムを使ったトマトの試験栽培をやっています。水稲や野菜で密播育苗(みっぱいいくびょう)の資料作りも手がけています。農家さん相手に農業生産工程管理(GAP)の講師を務めることもあります。大学時代に水稲の研究をやっていたので基本的な知識は分かっているし、調査方法や資料のまとめ方などで役立っているなと感じることはあります。

 今、農業は高齢化や世代交代、農地の集約と大規模化、自動化などで大きな転機にあります。セミナー会場には高齢農家に混じって、若い方や新規就農の方も結構いらしています。育苗などでこちらがアドバイスしたらうまく育ち「ありがとう」と言われる時の笑顔がうれしいですね。

               

(文=編集委員・嶋田歩、写真=森住貴弘)
日刊工業新聞2018年11月5日

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