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差別、ハラスメントのトラブル増加で事業保険にも変化が・・・

背景にあるのは労働市場のグローバル化や雇用形態の多様化など
 損保ジャパン日本興亜は主力の中小企業向け事業保険で、差別やハラスメントなどによる会社や従業員の賠償責任を補償する特約を新設した。労働市場のグローバル化や雇用形態の多様化などにより、社員間や労使間の雇用上のトラブルに起因する損害賠償が目立ち始めている。中小企業が抱える事業リスクに合わせて補償を拡充し、販売強化につなげる。

 中小企業向けの事業総合保険「ビジネスマスター・プラス」に、雇用上のトラブルによる損害賠償を補償する「雇用慣行賠償責任保険」を特約として組み込んだ。

 雇用慣行賠償責任保険は人種や宗教、信条、婚姻の有無などを理由にした雇用上の差別や、セクシュアルハラスメント、不当解雇による損害賠償金や慰謝料を補償するもの。さらに、弁護士費用や文書作成費用といった企業が支出した訴訟関連費用にも保険金を支払う。

 特約分の保険料は売上高5億円の製造業の場合、5万円程度。保険金の支払限度額は、最大で3000万円とした。

 事業総合保険は事業リスクに備える保険を組み合わせた商品で、顧客は一つの保険契約でさまざまな補償を得られるのが特徴。顧客利便性の高い事業総合保険に雇用慣行賠償責任保険を追加して、加入を促す。

 会社が差別やハラスメントを禁止する規則を定めていても、一部の社員間や労使間でトラブルが発生するケースが相次ぐ。これらに関連する賠償額は1000万円を超える高額なものも多く、いったん請求を受けると事業費が限られる中小企業にとり、業績への影響は大きい。商品改定を通じ、補償の必要性を喚起する狙いもある。
日刊工業新聞2018年10月31日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
差別やハラスメントは加害者側が無意識にしているケースも。万が一の時に備えることも必要かもしれませんが、事の重大さを認識する機会を増やすことも大事だと思います。

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