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ベンチャー企業に熱い視線、アジア最大規模のマッチングイベント開催

第6回イノベーションリーダーズサミット
ベンチャー企業に熱い視線、アジア最大規模のマッチングイベント開催

「XPANDコード」の実物を披露するXPANDの南木徹社長

**ベンチャーピッチも盛況
 ベンチャー企業と大手企業、ベンチャーキャピタル、投資家などが集まる「第6回イノベーションリーダーズサミット(ILS)」が東京都港区の虎ノ門ヒルズで開催された。ILSは、オープンイノベーションを目的としたイベントとしてアジア最大規模を誇る。10月22-24日の3日間で、200社以上が参加する技術・製品の展示やマッチング、ベンチャー企業のピッチコンテストなどが繰り広げられた。

 最終日には、日本政策金融公庫(日本公庫)が「日本公庫ベンチャーピッチ」を開催。参加した16社は10分間のプレゼンで技術を紹介し、聴講者に協業を呼びかけた。

 Doog(茨城県つくば市)は運搬ロボの「サウザー」を開発し、活用方法や採用企業の幅を広げている。120キログラムまでの重さに耐えられるベースユニットを核に、使用場所やシチュエーション、運搬する対象に合わせてカスタマイズができる。現場で運用している業務工程に合わせて使用方法を決めることも可能。現在は大型化や物流倉庫で使用するパレットへの対応、エンターテインメントで活用するための開発も進めている。

 サープス(東京都中央区)は、製造業で使用する産業機器の情報を共有できる従量課金制のソフトウエアサービスを開発している。「自動化の推進によって産業機器の利用が増えているにもかかわらず、機器の管理やメンテナンスなどの情報はいまだに紙で管理されていることが多い」(平野洋行CEO)ことから、産業機器の情報を一元管理するサービスを提供して現場の効率化を後押しする狙いだ。

 パリティ・イノベーションズ(京都府精華町)は、下に置かれた物体の映像を空中に投影する「パリティ・ミラー」を開発して注目を浴びている。ディスプレー内にしか表示できない拡張現実(AR)やデバイスの装着が必須となる仮想現実(VR)とは異なり、現実の空間に映像を浮かび上がらせて「現実を拡張する」(前川聡CEO)。センサーと組み合わせることで、空中に表示されるアイコンに“触れる”だけで操作できるスイッチやタッチディスプレーも提供可能。視認性が高くて清潔なため、医療現場や工場などへの導入が期待できる。課題だった量産化のめどがつき、2年後には本格的に量産を開始する予定。会場にはパリティ・ミラーの実物が置かれ、多くの人が足を止めた。

 XPAND(埼玉県東松山市)は、国内の公共交通機関などで採用が進むスマートフォン向けのバーコード「XPANDコード」を開発。QRコードと比べて離れた場所からでも認識しやすく、実証実験では60メートルの距離でも読み取ることができた。公共交通機関のディスプレーの他にも大型ビジョンや床、バスの車両、橋など使用場所の可能性は幅広い。「地味な技術だが都市の景観に与えるインパクトは大きい」(南木徹社長)と、交通事業者や公共・施設管理者への積極的な売り込みを模索している。

 この他にも人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の活用、マーケティング・営業支援、ヘルスケアやスマートデバイスなどのテーマでプレゼンテーションが実施され、終了後には多くの聴講者が登壇者の下を訪れた。
ニュースイッチオリジナル
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ベンチャーピッチの会場はほぼ満席の状態。注目度の高さを実感しました。

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