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CEATECに見る、クルマのインターフェースはどこまで進化するのか《動画あり》

CEATECに見る、クルマのインターフェースはどこまで進化するのか《動画あり》

トヨタはスマホと連動した車載端末を披露

 自動車の車内機器を操作するためのインターフェースが進化してきた。スマートフォンと車載端末を連携させスマホのように使えるようにしたり、ジェスチャーで窓の開閉などを操作したりできるようにする技術が関心を集める。16日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕した家電・IT見本市「CEATEC(シーテック)ジャパン2018」で動向を探った。

 トヨタ自動車は会場にハイブリッド車「プリウス」を持ち込み、スマホと連携する車載端末を披露した。米フォードモーターなどと開発した技術「スマートデバイスリンク(SDL)」を使いスマホ連携を実現した。SDLに対応したスマホアプリケーション(応用ソフト)を端末の画面などで利用できる。

 SDL端末は12月の発売予定。アプリ展開の第1弾でLINEが人工知能(AI)音声対話支援アプリ「クローバオート」などを提供する。「今日の天気は?」とハンドルを握りながら質問すると「曇りです」などと教えてくれる。LINEの担当者は「運転中でも安全にスマホの機能を使ってもらいたい」と説明に力を込める。

 クラリオンは、スマホを使って出発地から目的地までのシームレスな移動を可能にするナビゲーション機能を紹介する。運転前にスマホアプリで最終目的地を入力し車に乗り込むと、カーナビゲーションシステムにルートが自動設定される。車を降りた後もスマホに情報は引き継がれ徒歩ルートを確認できる。

 10月からは石川県の加賀市観光交流機構や温泉観光協会などと連携し、同機能を使い観光客にドライブプランを提案する実証実験を始めた。クラリオンの国井伸恭執行役最高技術責任者は「これまでの車載機器の開発・製造に加え、ITと融合したソリューション事業で持続的な成長を目指したい」と話す。

 一方、アルプス電気はジェスチャーで自動車の窓の開閉などを操作できるようにするモジュール(複合部品)を披露した。静電容量センサーやASIC(特定用途向けIC)で構成し、ドアや窓への搭載を想定する。

 自動運転車の実現を見据えて開発した。ハンドルから自由になった搭乗者が、簡単に車を操作できるようにして利便性をより一層高める狙いだ。自動車メーカーの協力を得て、仕様などを詰め製品化を目指す。

 通信や自動運転技術の進化が、インターフェースの発達をうながしている。アルプス電気の木本隆専務は「自動運転が本格到来すれば、車内空間は劇的に変化する」と指摘する。
アルプス電気のモジュールのデモンストレーション
日刊工業新聞2018年10月17日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
移動手段という自動車の価値は相対的に薄れ、車内で楽しんだり、くつろいだりする快適性へのニーズが高まるとみられる。インターフェースはその優劣を左右する需要な要素であり、開発競争が激化しそうだ。                                

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