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NEDOが託す人の能力を超えるロボット開発18件の中身

韓国や中国も猛烈に追い上げ。ニッポンは「大国」の地位を守れるか
NEDOが託す人の能力を超えるロボット開発18件の中身

ワイヤ式駆動機構を組み込むロボットアーム(東工大提供)

  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は23日、次世代ロボットの中核技術としてセンサー技術や駆動機構、人工知能の開発に取り組むと発表した。嗅覚センサーを開発する東京大学のチームやワイヤ式駆動機構を開発する東京工業大学のチームなど18件のテーマを採択した。2015―19年度の5年間で、10種類のロボット開発を目指す。

 嗅覚センサーは災害現場などで救助犬に代わって埋もれた人を捜索するロボット向け、ワイヤ式駆動機構は高強度化学繊維を採用した軽量なロボットアーム向けに開発する。NEDOの関根久プロジェクトマネージャーは「人の能力を超える革新的なロボット技術を開発する」と話している。

18件のテーマと委託先


 ●スーパーセンシング                    
 「人検知ロボットのための嗅覚受容体を用いた匂いセンサの開発」東京大学、住友化学、公益財団法人神奈川科学技術アカデミー
 「次世代ロボットのためのマルチセンサ実装プラットフォーム」東北大学
 「ロボットの全身を被覆する皮膚センサの確立と応用開発」熊本大学

 ●スマートアクチュエーション
 「高強度化学繊維を用いた『超』腱駆動機構と制御法の研究開発」東京工業大学
 「可塑化PVCゲルを用いたウェアラブルロボット用ソフトアクチュエータの研究開発」信州大学、 産業技術総合研究所
 「高効率・高減速ギヤを備えた高出力アクチュエータの研究開発」横浜国立大学
 「全方向駆動機構を核とした革新的アクチュエーション技術の研究開発」東北大学
 「スライドリングマテリアルを用いた柔軟センサおよびアクチュエータの研究開発」豊田合成、アドバンスト・ソフトマテリアルズ
 「慣性質量を含むインピーダンス可変機構を有するスマートアクチュエータ」早稲田大学
 「小型油圧駆動系と燃料電池/電池ハイブリッド電源によるフィールドアクチュエーション技術」東京大学
 「人間との親和性が高いウェアラブルアシスト機器のための可変粘弾性特性を有する革新的ソフトアクチュエータシステムの開発」中央大学
 「高分子人工筋肉アクチュエータによる柔らかな運動支援装具の研究開発」九州大学名古屋大学

 ●ロボットインテグレーション技術
 「超広域認識行動計画学習ロボット知能ソフトウェア要素群の透過的継続的システムインテグレーション管理機構技術の研究開発」東京大学
 「人共存環境で活動するロボットのためのHRI行動シミュレーション技術の実現」国際電気通信基礎技術研究所
 「人ごみをぶつかりながら安全かつ不快感を与えずに移動する自律移動技術の研究開発」パナソニック、早稲田大学
 「生物ロコモーションの本質理解から切り拓く大自由度ロボットの革新的自律分散制御技術」東北大学
 「行動記憶レイヤ統合に基づく革新的能動センシング、適応アクチュエーション、障害対応実時間統合システムの中核総合化研究開発」東京大学
 「知識の構造化によるロボットの知的行動の発現研究開発」明治大学
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
今年の「DARPAロボティクスチャレンジ」で優勝した韓国(韓国科学技術院・KAIST)はロボット開発の国家予算を大幅に増やした。中国は産業用ロボットの要素部品などの内製化に動き出している。日本は本当に危機感を持つべきだ。

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