ニュースイッチ

ローソン銀が15日開業、その成長戦略とセブン銀の動きは?

7年ぶりの新規参入、地銀と提携強化
ローソン銀が15日開業、その成長戦略とセブン銀の動きは?

7年ぶりの銀行参入

 ローソン銀行が15日営業を開始する。銀行の新規参入は7年ぶりで、流通系金融機関としてはセブン銀行、イオン銀行に次ぎ3行目となる。山下雅史社長は「経済圏をしっかり活性化するのは我々にとって大事。地域活性化によりローソンも良くなり、その地域の人たちも幸せになる」と語り、地域経済の発展や地方銀行との提携強化により成長を目指す。

 福井駅から車で約1時間の場所にある福井県立恐竜博物館(勝山市)。海外からの来場者が多い人気施設だ。その建物に隣接する土産物やレストランが入った施設に、地元・福井銀行とローソン銀が共同で運営する現金自動預払機(ATM)が開業する予定。海外旅行者はカードで預貯金を引き出したいが「多くの地銀のATMは海外対応ができていない」(山下社長)ため、ローソンと組むことで訪日外国人(インバウンド)需要に応えられるとみる。新千歳空港や東京メトロの駅などにもATM設置を進め、知名度向上を図る。

 ローソンなどで利用できるポイントサービス「Ponta(ポンタ)」も有効活用する。ポンタを運営するロイヤリティマーケティングの持つ情報網と組み合わせ、将来的には与信モデルの構築も目指す。ポンタのIDを使い、個人の行動や金融の動きをビッグデータとして蓄積。資金不足でも、利用者に給与が入ることが分かれば貸し出せる。即時審査と言うより、事前に誰にいくら貸せるのか分かるようになるという。

 一方、セブン銀は「ATMサービスを主とした銀行」を掲げる。提携金融機関は大手銀行、地銀、信用金庫に加え、「LINE Pay」にも対応する。さらにATMで、非接触型ICカードのSuica(スイカ)やPASMO(パスモ)など主要な交通系電子マネーをチャージ(入金)できるようにする。顧客の利便性向上につなげ、新規参入のローソン銀とサービス面での差別化を図る。

 山下社長は日本長期信用銀行(現新生銀行)の出身。不良債権処理やリーマン・ショックなど金融危機を身近で見てきただけに「人の生活を支える上で金融を守らないといけない。ローソンには年間延べ35億人が来る。ここなら本当の役に立つ金融ができる」と、新天地での活躍を誓った。
(文=浅野文重)
日刊工業新聞2018年10月12日

編集部のおすすめ