LINEでも発生…災害時のデマどう防ぐ?

AI活用の動きも

企業や自治体の正確な情報発信が求められる(北海道地震で被災した札幌市清田区の住宅街)

 地震、台風など自然災害が日本列島を矢継ぎ早に襲った。不安な時間を過ごす被災者にとって「LINE」「ツイッター」などの参加交流型サイト(SNS)は情報収集や生存確認の手段として重要な役割を果たした。一方、被災者の不安をあおるようなデマ情報が駆け巡り混乱が起きるケースもあったため、SNS大手のLINEはデマ情報対策にも力を注ぐ。災害大国の日本ではSNSの使い方が大きな問題となっている。  「『LINE』のようなクローズドな空間でデマが拡散するケースが増えている」。LINE企画1室の入江和孝副室長はこう危機感を示す。LINEは対応策として、SNSの正しい使い方を指南する教材を作成して教育機関などに無償配布するほか、中学や高校に講師を派遣して出前授業も開催している。地道な草の根活動により、利用者側のモラルの底上げを図る。  防災科学技術研究所と連携し、人工知能(AI)や「LINE」を活用した減災の取り組みにも乗り出した。災害時に「LINE」に専用アカウントを開設。被災者に画像やテキストで被災状況を投稿してもらって情報を集め、政府や自治体の速やかな被災状況の把握に役立てるのが狙いだ。投稿内容はAIで真偽を見極めた上で、「LINE」上に配信する。早期の実用化に向け、年内に自治体と連携した訓練を実施する。  「今からNHKが伝える情報を、メールやSNSで被災者に伝えてあげてください」。9月に北海道で発生した地震の速報を伝えるNHKのニュース番組内で、アナウンサーがこう繰り返した。NHKが全国放送のニュース番組で、視聴者にSNSでの情報発信を呼びかけたのは初めて。SNSはインターネットがつながれば利用できる。停電や通信インフラ遮断の影響を受けにくい。情報収集や安否確認ができる災害時の重要なインフラとなるため、いかにデマ情報の拡散を防ぐかが大きな課題となる。  従来、デマ情報は「ツイッター」などで発生し拡散することが多かったが、北海道地震では「LINE」を起点としたデマ情報が増えた。具体的には「5―6時間後に大地震がくる」「もうすぐ断水する」といった不安心をあおるものが多い。友人から聞いた不確かな情報を、善意で他の友人に伝える伝言ゲーム式で「LINE」上に流れ、それがツイッターで爆発的に拡散するケースもみられた。  「悪意がない分、危険性が高い」と指摘するのは、Spectee(スペクティ、東京都新宿区)の村上建治郎社長兼最高経営責任者(CEO)。同社はSNSで収集した災害時の画像や動画を報道機関に提供するサービスを手がける。  「ツイッター」上の投稿は全ユーザーに公開されるため、デマだと指摘するユーザーも現れ自浄作用が働くことが多いという。しかし「LINE」は友人とのクローズドな空間でやりとりするため、発覚する頃には既に多くの人に拡散している。  村上社長兼CEOは対応策として「企業や自治体がもっとSNSを積極的に活用して情報発信するべきだ」と提案する。SNSで誤った情報が出回った場合は、それを打ち消す正しい情報を企業側が素早く発信し、早期に火消しをすることが必要という。「残念ながら大きな災害があると(デマ情報は)必ず出てくる」(村上社長兼CEO)。複数のSNSを利用する個人も多く、災害時に有効なインフラとして活用するためには、利用者と企業や自治体など両面からの対策が必要になる。 (文=大城蕗子)

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