次世代太陽電池「ペロブスカイト」、折り曲げ可能へブレークスルー

桐蔭横浜大、樹脂基板にインクジェットで低温成膜 

IJ法を使い作製したペロブスカイト太陽電池(宮坂研究室提供)

 桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授、戸邉智之大学院生らは、インクジェット(IJ)法によるペロブスカイト層の低温成膜に成功した。一般的な樹脂基板の耐熱温度である150度C以下の条件で、IJプリンターを使ってペロブスカイト太陽電池(用語参照)を作製し、同手法では世界最高のエネルギー変換効率13・3%超を達成した。これまでIJ法では500度C以上で成膜しており、樹脂基板に適用できなかった。折り曲げ可能なペロブスカイト太陽電池の早期実用化につながると期待される。  紀州技研工業(和歌山市)と協力し、同社のエレクトロニクス用IJプリンター「WM5000」を使って、酸化インジウムスズ(ITO)ガラス基板上にペロブスカイト層を成膜した。  従来は太陽電池専用のガラス基板しか使えなかった。成膜条件を調整し、安価かつ樹脂基板コーティングにも使われているITOガラス上に成膜できた。  変換効率は、ペロブスカイト層の厚みや表面粗さなどに影響を受ける。溶液の吐出サイズや印刷ピッチ、基板加熱温度など、最適な条件を検討した。  その結果、120度C前後で最も変換効率が高くなり、ダブルカチオン型ペロブスカイト溶液を使う場合、13・3%を達成した。耐久性が高く最も商品化に近いとされるトリプルカチオン型ペロブスカイトでも実験し、変換効率12%超を得た。  今後、ペロブスカイト層だけでなく、ペロブスカイト太陽電池作製の全工程へのIJ法適用を目指す。  次世代太陽電池として注目されるペロブスカイト太陽電池は、塗布により簡単に製造できるのが特徴。現在はスピンコート法が主流だが、デバイス化するにはIJ法やロールツーロール法などで作る必要がある。  IJ法は、用途に合わせた厚み制御やデザイン性の高いデバイス作製が容易で、実用化が期待される。ポーランドのソール・テクノロジーズ(Saule Technologies、ワルシャワ市)などもIJ法によるペロブスカイト太陽電池製造を目指している。

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