サーキュラーエコノミー、日本企業の対応

東京大学大学院教授・梅田靖氏インタビュー

 欧州連合(EU)が資源の有効活用を経済成長につなげるサーキュラーエコノミー(CE、循環経済=用語参照)政策パッケージを発表して間もなく3年になるのを前に、経団連のシンクタンクである21世紀政策研究所が研究プロジェクトを立ち上げた。CEは競争ルールを一変させる可能性があり、プロジェクトの研究主幹で東京大学大学院教授の梅田靖氏は「メーカーが下請けになる」と警鐘を鳴らす。日本企業に必要な対応を梅田研究主幹に聞いた。  ―CEの印象は。  「日本で資源循環はやらないといけないことであり、もうからないと認識されている。CEは経済を大胆に変えようとする発想。製造業で雇用を生み出せなくなったEUは、製品を長持ちさせるメンテナンス、資源を有効活用するシェアリングやリサイクルで経済価値を創出する」  ―どのような変化が予想されますか。  「ITによって資源循環をマネジメントする企業が力を持つようなる。消費者と接点を持つメンテナンス業者も、サービス提供によって利益を得るだろう。メーカーは下請けになる可能性がある。いずれアジアやアフリカにもCEが広がると想定し、日本企業も準備をしておくべきだ」  ―梅田研究主幹の専門であるライフサイクル工学から見た日本の課題は。  「ライフサイクル工学は使用や廃棄・再生まで評価して設計し、オペレーションする技術体系であり、CEに不可欠。日本は長寿命化、解体しやすい設計など個々の技術はあるが、システム設計が苦手でありオペレーションが課題となる。日本メーカーは開発・生産にはリソースを割くが、サービスに力が入りにくい」  ―ではメーカーは何をしたら良いですか。  「製品を売った後での消費者と接点を持つ方法を考える。廃棄・再生段階では、優秀なリサイクル業者を取り込むこと。メーカーがリサイクル業者を育成していくべきだ」  ―21世紀政策研究所がCEの研究プロジェクトを立ち上げた狙いは。  「EUの政策を分析して日本の産業界に伝え、ビジネスモデル変革によるリスクを低減する。そして日本企業がどのような技術を持ち、取るべき行動は何かを提言したい」 【記者の目/CEの議論、発言力不可欠】 国際標準化機構(ISO)にCEの規格化が提案された。梅田研究主幹は「日本が議論を引っ張るべきだ」と主張する。確かに日本は世界に先駆けてリサイクルの法制度を整え、技術力もつけてきた。EUの戦略に飲み込まれるのではなく、逆にCEを利用して競争で優位な立場を奪うための発言力が求められる。(編集委員・松木喬)

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