ヤマハが楽器デザインでこだわる“オーディエンスビュー”とは

ヤマハデザイン研究所・川田学所長に聞く

ヤマハ公式ホームページより

 楽器、音響機器からゴルフクラブや自動車部品まで幅広い製品群を持つヤマハのデザインを一手に担うヤマハデザイン研究所。「楽器はプレーヤーに心地よく演奏してもらうことと同じくらい、演奏する姿がかっこよく見える“オーディエンスビュー”が大切」と語る川田学所長に、デザイン哲学やこだわりを聞いた。  ―デザイン研究所の役割は。  「年間平均300アイテムのデザインを約30人のメンバーで手がけている。新製品のほか、10年越しのプロジェクトやデザインコンセプトモデルもある。最近は製品開発も企画の初期段階から関わるケースが増えている」  ―カジュアル管楽器「ヴェノーヴァ」が17年度グッドデザイン賞の大賞を受賞しました。  「ヴェノーヴァは工芸品的な楽器を工業製品として実現するという、実にヤマハらしい発想から生まれた。コンピューターシミュレーション理論を使い、本来は円すい形のサックスの音色を枝分かれの分岐管構造で実現した。指が届きやすいよう分岐管をぐねぐねと蛇行させている。この形に賛否両論があったが、最終的にこの形状が楽器の成り立ちそのものだから隠さないという結論に至った」  ―デザインで意識していることは。  「ユーズ(use)とプレイ(play)は何が違うか。ユーズは、例えば自販機のように少ない手間で目的を達成する利便性。しかし、楽器がそうなってしまったら誰が弾いても同じでつまらない。楽器は人それぞれの目標や楽しみ方があるからこそ、一生涯の趣味になり得る」  ―目指す姿は。  「ヤマハのデザインチームができることを広くアピールして仕事の幅を広げたい。キーワードは“遊び心”。例えば、ヤマハがデザインした携帯電話なら、仕事中や通勤電車で操作している姿がかっこよく見えるか。この観点を“オーディエンスビュー”と呼ぶ。世の中に存在するユーズをプレイに変えられるクリエーティブ集団を目指したい」 (聞き手=田中弥生)

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