AI・IoTが変える、エンジニアリング業界のパラダイムシフト

連載・スマートエンジ始動(上)

東洋エンジニアリングがIoTシステムを実装したインドネシアの肥料プラント

 エンジニアリング業界でパラダイムシフトが起きている。プラントのEPC(設計・調達・建設)に加えて、人工知能(AI)などの先端技術を生かしてプラントの操業を支援する動きが活発化してきた。受注だけに頼らないビジネスモデルを築ける可能性もある。エンジ各社とエネルギー分野の企業との距離感が縮まっている。  「ビッグデータ(大量データ)を活用し、これまで以上に顧客のプラント保全を支援できる」―。千代田化工建設の井川玄ChAS(チェイス)・デジタルテクノロジー事業本部長代行兼AIソリューション部長は自信をのぞかせる。  液化天然ガス(LNG)プラントのEPCが中核の同社が、プラント向けIoT(モノのインターネット)サービスの展開で村田製作所と手を組んだ。千代田化工のエンジニアリング技術と村田製作所のセンサー網の技術を組み合わせて、プラントを常時監視し、運転状況のデータを安定的に取得できる。  こうした需要を取り込む背景にあるのは、「運転の仕方によってプラントに使われている機器の寿命が延びたり縮んだりする」(井川事業本部長代行)ためだ。プラント事業者が生産する製品のコストを抑えようとして原料の品質確保をおろそかにすると、機器や配管が想定よりも早く劣化してしまう。  プラントの状態を正確につかむためには膨大な運転データを収集、解析する仕組みが必要で、プラントの完工後も商機を得られる。  東洋エンジニアリングは米ゼネラル・エレクトリック(GE)と連携し、肥料プラントの運転や保全を効率化するシステムを開発した。GEのIoT基盤「プレディックス」やビッグデータの解析を生かして、プラントの稼働率を高めるのに加え、収益力の強化につなげられる。  東洋エンジが関わっている100基以上の肥料プラントに同システムの導入を目指す。エンジ業界の枠を超えた協業関係がプラント分野を攻略するには欠かせない。  原油価格の回復に伴ってエネルギー企業の投資が徐々に持ち直しつつある。エンジ各社の受注環境は改善しているが、安定的に収益を確保するビジネスモデルが必要。完工後も顧客との結びつきを深めることができるため、先端技術の活用が競争力を左右する。“スマート(賢い)エンジニアリング”は始まったばかりだ。 (文=孝志勇輔)

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