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COP24へ、日本は環境後進国の汚名を返上できるか

国際交渉が本格化
COP24へ、日本は環境後進国の汚名を返上できるか

COP24は12月にポーランドで開催

 気候変動問題をめぐる国際交渉が本格化する。年末の気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)の準備会合がタイ・バンコクで始まった。12日からは米サンフランシスコ、24日には米ニューヨークで企業や自治体が集い、政府に気候変動対策を呼びかける国際会議が相次いで開催される。日本からの参加も予定されており、世界に日本の存在感を示す機会だ。

ルールブック


 COP24は「ルールブック」と呼ばれるパリ協定の実施指針の決める重要な会議だ。5月、ドイツ・ボンの会合でルールブックを議論したが、先進国と途上国が対立して手詰まりに。急きょ、バンコクでの追加会合が決まった。最終決着はCOP24だが、バンコク会合で最終形に近い状態まで仕上げる必要がある。

 WWFジャパンの小西雅子氏は「途上国支援が火種」という。先進国だけが温室効果ガス削減義務を負った京都議定書と違い、パリ協定はすべての国が目標を掲げて参加する。先進国が求めた「透明性」が確保されたが、途上国は自然災害対策を要求するようになり、対立が再燃した。

交渉を後押し


 進まない国同士の交渉を後押しするのが、サンフランシスコで12日に始めるグローバル気候行動サミットだ。主催するカリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事が共同議長を務め、欧米企業トップ、仏パリや米ロサンゼルス市長などが参加する。

 WWFジャパンの山岸尚之氏は「議論の結果よりも、世界のリーダーが集まってCOP24への機運を盛り上げることに重点が置かれている」とサミットの性格を分析する。

 企業や自治体など国以外の主体が、国際交渉に影響を与えるようになっている。米国の団体「We are still in(我々はパリ協定にとどまる)」が有名。アマゾン、アップルなど米国を代表する企業が名を連ね、パリ協定離脱表明した米政権を批判している。日本でも7月、パナソニックなどの企業、東京都などの自治体が「気候変動イニシアティブ」を設立した。グローバル気候行動サミットに参加し、現地での記者会見を開く予定だ。

 24日には企業が参加する会議「クライメートウィークニューヨーク」が国連総会と同時に始める。開会式にはリコーの山下良則社長が登壇する。日本企業トップが気候変動の国際会議で発言するのは珍しい。環境対策での遅れが指摘されている日本の存在感を示せるのか注目だ。
(文=編集委員・松木喬)
日刊工業新聞2018年9月5日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
気候変動をめぐる国際交渉の季節が今年もやってきました。日本版”We are still in”ができ、日本は環境後進国の汚名を返上できるでしょうか。リコーの山下社長のスピーチも注目です。以前なら財界系シンクタンクがCOP前にレクをしたり、業界団体の専務理事・事務局長が勢揃いして記者会見したりしていました。いつの間にかメディア向けに発表する主体が変わった気がします。

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