グーグルが江戸時代から続く織物の老舗に依頼したこと

沢井織物工場、多摩織の技法で新たな可能性見出す

新製品開発の傍ら後進の育成にも力を入れる伝統工芸士の沢井社長

 沢井織物工場(東京都八王子市、沢井伸社長、042・691・1032)は、伝統工芸品である多摩織の技法を承継し、江戸時代から続く織物の老舗。一方、ネクタイやストールなど洗練されたデザインを取り入れた新製品や、大手企業との開発に挑む。多摩織の技法を応用し、織物の新たな可能性を見いだす。  多摩織は「お召織」「紬(つむぎ)織」「風通(ふうつう)織」「変(かわ)り綴(つづれ)織」「捩(もじ)り織」の5種類の織り方があり、1種類または複数を組み合わせる。原料は生糸、玉糸、真綿の紬糸などを使う。糸繰りから整経、絣括(かすりくく)り、染色、機巻き、綜光(そうこう)通し、手織りを経て完成までに早くても2カ月。職人が丹精込めて仕上げていく。生地に風合いがあり、しわになりにくいのが特長だ。  近年は着物文化の衰退と共に生地生産が減り、多摩織を継承する職人も減少している。その中で、沢井織物工場は織物の新たな活路を見いだそうと洋装や雑貨製品の生産比率を高めるほか、デザイナーズブランドのOEM(相手先ブランド)も手がけ消費者に親しみやすい切り口でアプローチする。  織物の技術をこれまでにない発想で、企業や団体と共同開発する事例も増えてきた。例えば反射材を生地に織り込んだ帽子。歩行の安全を確保しながらしっかりとした生地に帽子のデザイン性を確保した。  最新の技術を駆使した開発にも参画する。米グーグルから依頼を受けウエアラブルにかかわる生地の開発に協力した。電気を通す横糸と、ICチップを布に縫い込み、タッチパネルのような生地の試作開発にかかわった。  沢井社長は「分野を問わずいろいろなメーカーから引き合いがある」といい、繊維や素材の試作から製品評価まで研究開発を支援する東京都立産業技術研究センター(多摩テクノプラザ)に通い詰めるほどだ。ハイテク企業が日本の伝統技術を取り入れ始めている。

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