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あなたの気持ちに合わせたフォント、AIが自動で選びます

大日本印刷がシステム開発
あなたの気持ちに合わせたフォント、AIが自動で選びます

メッセージアプリに導入すれば感情が伝わりやすくなる

文章ににじみ出る喜びや悲しみを人工知能(AI)が判別します―。大日本印刷は、文章の内容や絵文字に合わせて最適なフォントをAIが選ぶシステムを開発した。メッセージアプリケーション(応用ソフト)や企業のキャラクターのチャットボットをはじめ、広告物の制作などに活用できる。文章から感情を読み取ってフォントを選ぶシステムは世界で初めてという。

大日本印刷が開発した「DNP感情表現フォントシステム」は文中の言葉や絵文字を解析し、12種類のフォントから最適なものを判別する。例えば「この子猫かわいいね。癒やされる」といったメッセージは丸みを帯びたフォントに、「怪談番組見ちゃって、怖くて風呂行けない」というメッセージは血が滴るようなフォントに変換する。事務的な内容や訃報などは一般的なゴシック体で表示する。

メッセージアプリなどでは、企業のキャラクターのチャットボットが自動で返信するシステムがある。だが、文字だけでは無機質な返答になってしまうことが課題とされている。同システムを使えばキャラクターの感情が伝わりやすくなり、企業のイメージアップが期待できる。そのほか広告物の制作では、デザイナーに依頼しなくても広告の内容に合ったフォントを選べるようになる。

企業や自治体などが消費者や生活者の問い合わせメールの表示に導入すれば、怒っている部分や悲しんでいる部分などを目立たせられる。顧客や生活者が伝えたい内容を分かりやすく表示することで、対応の迅速化につながる。

現在はAIが最適と思われるフォントを選んでいるが、ディープラーニング(深層学習)などを使えば文章を入力した世代ごとの好みのフォントを選ぶことも可能。また需要に応じて英語や中国語などへも対応できるように改良する考え。

同じ「やばい」でも顔文字を基にフォントを判断(大日本印刷)
(2018年8月24日)
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
使ってみたい、おもしろい技術です。

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