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海洋ロボの性能向上も!150mの海水圧に耐える電子部品向け樹脂塗膜

マリンコムズ琉球と薩摩総研が共同開発、事業化目指す
海洋ロボの性能向上も!150mの海水圧に耐える電子部品向け樹脂塗膜

樹脂で塗膜して耐圧・防水化した電子基板(比較のため樹脂を一部剥離)

 マリンコムズ琉球(沖縄県宜野湾市、新川直正社長、098・870・2561)は、電子部品に海中150メートルの耐圧・防水性を持たせる樹脂塗膜技術を開発した。樹脂の改良や塗膜の多層化で実現した。熱伝導性が高く放熱効果を持つため水中ロボットの性能向上や舶用機器の塩害対策につながる。機械メーカーからの受託加工を目指す。

 薩摩総研(鹿児島県指宿市)との共同開発。開発した「海水中耐圧防水技術」は電子部品や基板を樹脂でコーティングする方法。部品のみ加工するため全体をハウジングで防水するより簡単で設計の自由度が増す。樹脂を通じて放熱でき、部品の熱上昇を抑える。急な加減圧に対応することから海中の移動機器に使用可能。部品の凹凸に対応するが可動部には利用できない。

 樹脂は一般的に気泡や変形が浸水の原因になるが、多層化や充填剤の配合で安定性を実現した。膜圧は耐圧性能に応じて変えられる。水深150メートルの防水は2ミリ―3ミリメートル、日常防水は1ミリメートル以下も可能。今後は薄膜化も進める。

 マリンコムズ琉球は沖縄での受託加工を視野に入れる。新川社長は「顧客のニーズがあればすぐにでも事業化したい」としている。
日刊工業新聞2015年07月17日 中小企業・地域経済2面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
海洋機器の開発では、真水で動いても海水だと動かなくなることがよくあると聞きます。その点で、この樹脂塗膜はもともと海中での使用を念頭に開発した技術。マリンコムズ琉球は水中での光による無線通信技術を核に、ダイビングや水中工事に向けた機具を開発しています。

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