街のゴミをAIで“見える化”するベンチャー

ピリカ、社会課題解決で起業

マイクロプラスチックの収集装置。スクリューを回転させ、水をかき集めてマイクロプラを採取

 微細なプラスチックゴミ「マイクロプラスチック」による海洋汚染が国際問題となっている。微細なゴミが魚や貝の体内に蓄積され、生態系に悪影響を与える恐れがあるからだ。  問題に関心が集まるにつれ、2011年設立のピリカ(東京都渋谷区)にマイクロプラの調査依頼が来るようになった。同社はバケツほどの大きさのマイクロプラ収集装置を開発した。  海や河川に沈め、スクリューを回転させて水をかき集め、マイクロプラを採取する。小嶌不二夫社長が手にした瓶の中にはプラスチック片で満杯になっている。東京湾のマイクロプラという。「異常に多い」と驚きを隠せない。  海のマイクロプラは、陸で廃棄されて河川から流れてきたプラ製品と考えられる。「陸からの流出を止めたいのであれば、流出経路を絶つアプローチが必要。流出場所を特定できれば解決策も考えやすい」(小嶌社長)と訴える。データを根拠にした対策が効率的と考え、16年ぐらいから社内で調査方法を検討してきた。  同社はIT企業であり、本業は陸のゴミ問題対策だ。人工知能(AI)が街の画像を読み込み、たばこの吸い殻、紙くずといったゴミを認識するシステムを開発している。ゴミの多い場所はデジタル地図上に赤く示す。行政はゴミの数を把握しないまま清掃地区を決めがちになっており、きれいな地区でも清掃員を多く配置するような非効率があるという。  このシステムがあればゴミを“見える化”し、清掃を効率化できる。国内の大都市、米国、中国など海外でも調査実績がある。  創業のきっかけになった「ごみ拾いアプリ」は、善意によるゴミ拾いを可視化するSNSだ。ゴミを拾った人が「拾った」と投稿すると地図上に表示される。企業や地域による清掃活動は盛んだが、ゴミの回収量などの実績は不明だった。「ゴミを拾っている人がいると分かると、マネしよう思う人が増える」と仮説を立て、11年にアプリの提供を開始。自治体や企業単位での採用があり、82カ国から60万人以上が参加し、7500万個のゴミが拾われた。  ピリカは京都大学院生だった小嶌社長が、「ゴミ行政に大きな予算が投入されているが、何かうまくいっていないのでは」という疑問を抱き、起業した。  当時、SDGs(持続可能な開発目標)はなかったが、事業は目標11(都市)、12(廃棄物)などに該当する。社会課題解決が起業のヒントになることを証明した。

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