押し寄せるキャッシュレス化の波、3大メガ銀はどう乗るか?

「キャッシュレス先進国にならないといけない」

みずほ銀行はJR東日本、アツプルと連携。銀行口座から直接スマホにチャージできるキャッシュレスサービスのデモ

 世界的にキャッシュレス化が進む中、日本のキャッシュレス比率は約2割にとどまる。キャッシュレスの促進は消費者の利便性向上や社会的コストの削減に資することから、日本でも本格普及に向けた機運が高まっている。多様な業界がキャッシュレス決済に熱視線を送る中、3メガバンクグループはこの流れにどう乗るのか。各社の動きを追った。  「キャッシュレス化で年約8兆円かかっている(銀行の)店舗コストなどが半分にできる。キャッシュレス先進国にならないといけない」―。全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は、キャッシュレス化の意義をこう説明する。  現金の取り扱いに伴う社会コストは輸送や人件費など膨大だ。銀行も現金自動預払機(ATM)の維持費など負担が重荷となっている。長引く超低金利下で銀行の収益力は低下し、経費率の低減が不可避となる中、キャッシュレス化の推進はその処方箋の一つになりうる。  三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はクラウドワークス(東京都渋谷区)と組み、個人事業主やフリーランスなどの報酬をウォレット(電子財布)で管理・決済するサービスを2018年度末から提供する。  同サービスはクラウドワークスに登録する190万人の個人事業主が対象。報酬をウォレットにプールし、決済や送金に使えるようにする。将来は銀行口座と連動し、決済手法の拡大や新たな決済ネットワークの構築を目指す。MUFGの亀沢宏規執行役専務は「我々にとって新たな試みだ。働き方に即した支払い手法を確立したい」と強調する。  三井住友フィナンシャルグループ(FG)とGMOペイメントゲートウェイ(GMO―PG)は、クレジットカードや電子マネーなど多様なキャッシュレス決済に対応可能な決済プラットフォーム(基盤)の開発で提携する協議を始めた。  カード業務に強みを持つ三井住友FGと、インターネット決済に強いGMO―PGのノウハウを融合。さまざまな支払い手段を一括で低コストに提供できるようにする。  共同開発するプラットフォームは、クレジットカードや電子マネー、デビットカードに加え、2次元コード「QRコード」決済や銀行口座と連動してスマートフォンから即時に口座引き落としができる「銀行Pay」といった新たな支払い手段にも対応する。  みずほ銀行はJR東日本と共同で、銀行口座から直接スマホにチャージできるキャッシュレスサービスに乗り出した。JR東のICカード電子マネー「Suica(スイカ)」の機能を活用し、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」で決済する。  通常のスイカと同様、スマホをIC端末にタッチするだけで利用でき、登録からチャージや支払いまでスマホで完結できる手軽さを訴求。同行の向井英伸常務執行役員は「JR東日本とアップルとの連携でまったく新しいサービスを開発できた」といい、キャッシュレス決済の普及につなげたい考えだ。  キャッシュレス社会を浸透させるには、メガバンクだけでなく産学官による総合的な施策の推進が不可欠。政府は経済産業省を軸にオールジャパンで進めている。経産省が7月に設立した「キャッシュレス推進協議会」の初期メンバーにはメガバンク、携帯大手、IT、小売りなど210企業・団体と6自治体が名を連ねた。

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