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人材採用代行サービスのトップが語る、採用難が深刻化する時代に企業に求められる視点

ツナグ・ソリューションズ・米田光宏社長インタビュー
人材採用代行サービスのトップが語る、採用難が深刻化する時代に企業に求められる視点

米田光宏社長

 アルバイト・パートなど現場人材を中心とした採用代行(RPO)サービスを提供するツナグ・ソリューションズは、18日に東証マザーズから東証一部へ市場変更をした。マザーズ上場から1年で昇格となり、2020年にはグループ全体で売上高250億円と、現在の2倍近くの規模を目指す。米田光宏社長に今後の戦略や、採用難が深刻化する現状への考えを聞いた。

 ―マザーズ上場から、わずか1年での昇格となりました。

 「15年にグループ経営を始めたころから考えており、負担も少なく市場変更ができた。取引先企業も一部上場企業が大半。機密情報を扱うため安心感は必要で、市場変更後の周囲の反応は良好だ。当社の進めるRPOは求人から媒体の手配、応募者対応、面接のアサインまで一括で請け負う。この業態自体は普及しておらず、さらなるサービスの認知度向上の必要がある」

 ―国内では採用難が深刻化し、採用に苦戦する企業が多いです。

 「08年をピークに総人口が減少している国内で、企業側は自社のアピールポイントを伝えるアウトプットなど、当時主流だった“選ぶ”採用をしている。今後は求職者がどんな働き方をしたいかなどを問う“選ばれる”採用をしていかなくてはならない」

 ―企業側に必要な視点とは何でしょうか。

 「現在はマスメディアを使う採用が主流だが、現場人材は大量に必要だ。そこには人工知能(AI)などを活用したアド・テクノロジーが有効だと思う。モノも“選ばれる”時代になっており、採用もマーケティングに近くなっている。マーケティングが取り入れているテクノロジー分析も重要な視点だと思う」

 ―現場人材の確保に向け、必要な取り組みは。

 「エリアや顧客層などスケールを拡大し、サービスの多様化を進める。生産人口が減っている中で、シニアや外国人、子育て世代の主婦層など、生産人口と認識されていない層を取り入れる必要がある。マニュアルの多言語化やシニアが安心してライン作業ができる環境を整備するなど、働く人を補助するテクノロジーの開発などヒューマンリソース(HR)テックへの投資を進める。入社後のサポートも重要で、定着支援サービスをする子会社などと連携しながら、人材コンサルティングにも注力する」
(聞き手・大串菜月)
日刊工業新聞2018年7月31日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
採用難に嘆く企業は、賃金の引き上げや雇用制度の改革など、自社の魅力づくりに力を入れている。だが、採用サイトの活用や学校推薦など、従来のパイプを頼りにするあまり、求職者にうまくアプローチできていない事例も少なくない。一方で、採用方法は媒体もルートも多様化している。自社がほしい人材を見極め、採用方法から見直すことが、人材確保の糸口となる。(日刊工業新聞社・大串菜月)

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