遠い存在だった国連と企業、SDGsで接近

SDGビジネスフォーラムの会場。4000人の聴講希望があった

 日本企業が国連との距離を縮めている。18日まで開かれた国連の「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム」の会場で、経団連は会員企業のSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを世界に発信した。LIXILは途上国でのトイレ普及を目指し、国連児童基金(ユニセフ)と協力関係を結んだ。どちらもSDGsを推進する国連を援軍につけ、SDGs達成に貢献するビジネス拡大を目指す。  ハイレベル政治フォーラムは各国政府の代表が年1回、SDGsの達成に向けた課題を話し合う場だ。あくまで政治の会議だが、企業やNGOが開くサイドイベントも注目される。政治フォーラムの会場である米ニューヨークの国連本部では世界の経済界の首脳が集まった「SDGビジネスフォーラム」も開催された。  損保ジャパン日本興亜CSR室の関正雄シニアアドバイザーによると600席に対し、4000人の聴講の応募があったという。「国連、各国政府関係者、NGOが企業に注目している証拠」と盛況ぶりを解説する。  経団連からは企業行動・CSR委員長の二宮雅也氏(損保ジャパン日本興亜会長)がパネル討議に登場し、会員企業のSDGsへの取り組みをまとめた冊子を初披露した。  各社の技術・事業を17の目標別に整理し、ウェブでも同時公開した。デンマーク人から「我々も取り組みたい」と反響があったという。経団連は前回の17年、ビジネスフォーラムを聴講し、注目の高さを目の当たりにして発表の機会をうかがっていたという。今回、SDGsを推進する国連や各国政府関係者の前で日本企業の事業・技術を発信できた。ビジネス機会が広がりそうだ。  LIXILと国連機関であるユニセフは、SDGsの目標6(水の衛生)達成を共通目標として協力関係を結んだ。ユニセフによるとトイレの普及が遅れている国では野外排せつが河川を汚し、不衛生な水による下痢などで1日800人の子どもが死亡している。  子どもの健康を守りたいユニセフがトイレの普及を途上国政府に啓発し、LIXILが低価格のトイレを提案する役割分担だ。途上国にもトイレ市場を創出し、衛生改善に貢献したいLIXILにとってユニセフは強力なパートナーだ。  国連は企業に遠い存在だった。しかし「SDGs達成にはビジネスの力が必要」と国連側から企業へメッセージが発せられるようになった。SDGsが共通言語となり、お互いの距離が縮まった。 (文=松木喬)

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