インダストリー4・0も威力発揮 三菱電機が次世代型省エネ

自家発電の電力をグループ拠点で共有、キヤノンMJは最新鋭ビルでも40%減

ビルの省エネ化

 政府による夏季の節電要請期間が始まった。一部地域を除けば電力供給には余裕がある。とはいえ電力料金は上昇しており、もはや省エネルギーは夏だけの課題ではない。”乾いた雑巾“と言われるほど省エネが浸透した産業界では、新たな取り組みが進んでいる。  三菱電機は節電対策として工場に太陽光パネルを設置している。31拠点に合計1万5900キロワットを導入し、発電した電力を工場で使って電力需要を抑制してきた(※1)。他にも老朽化した空調の更新、エコキュートの導入など自社製品による省エネを進めている。  同社では生産現場でビッグデータの活用も開始しており、名古屋製作所では生産設備から集まるデータを解析。従来は不良の原因を突き止めるのに2日要していたが、いまは5時間で判明するようになった。  このインダストリー4・0をほうふつとさせるシステムが、省エネにも威力を発揮している。数量、温度、電力などのデータを解析し、品質への影響を心配して踏み込めなかった製造条件の見直しにも着手。寸法に余裕を持たせるなど、データに裏付けされた対策を打てるようになった。  富士フイルムホールディングスは2014年度から「自己託送」(※2)の制度を使い、関東地区16拠点に自社の富士宮工場の自家発電の電力の供給を開始。自家発電を16拠点で共有し、電力会社との契約電力を平均10%引き下げた。  同社では新たな省エネ余地も発掘している。インバーターを取り付けて消費電力を絞り込んだ設備でも、操業に支障がなければ電源を切って固定エネルギーをゼロにする。製造条件も見直し、事例を各拠点に水平展開している。  15年度は自家発電で電力供給する拠点を一つ追加。17拠点で13年度比14%の電力使用量を削減する。  オフィスでも省エネは進化している。キヤノンマーケティングジャパン(MJ)の本社が入居する「キヤノンSタワー」(東京都港区、29階建て)は03年に完成。最新機器を備えており省エネの余地はないと思われていた。それが完成時より40%も省エネ化した。機器の更新ではなく、運用改善による成果だ。  キヤノンMJの斉藤金弥OES事業推進室主管は「見える化の効果が大きかった」と話す。消費電力を計測すると、フロアごとの電力使用の違いが判明。データを示して従業員に節電を促した。  キヤノンMJはノウハウを生かし、中小事業所向けの省エネサービス「節電コンシェルジュ」を始めた。”コンシェルジュ“の名の通り、現地調査や診断、節電のルールづくりまで支援する。給湯ポットの電源を入り切りする時間も決める徹底ぶりだ。すでに13%の電力コストを削減した事例がある。 (松木喬) ※1、三菱電機は屋根で発電した電力を売電をせず、自家消費しています。工場の電力需要が増える時間帯と発電とのタイミングが合い、電力需要を抑えられています。 ※2、「自己託送」は電気事業法で14年4月から認められた制度。電力会社の送電網、設備を使って自家発電の電力をグループ拠点に供給できます。制度の活用は富士フイルムHDが初めてです。

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