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2018年は“ZEHマンション”元年だ

大京が国内初の認定取得
2018年は“ZEHマンション”元年だ

大京が「ニアリーZEH―M」認定を取得したライオンズ芦屋グランフォートの完成予想図

 経産省などが定めた住宅のエネルギー収支を実質ゼロにするネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の集合住宅版規格「ZEH―M(マンション)」の認定が始まった。大京が兵庫県芦屋市で計画する5階建て集合住宅「ライオンズ芦屋グランフォート」で、ZEH―Mの4段階の認証の一つ「Nearly(ニアリー)ZEH―M」の国内初の認定を取得した。他社の取得も進む見通しだ。実現が難しかった集合住宅のZEH化に追い風となる。

 ZEH―Mでは、住戸ごとの性能をZEHに準拠して判定する。省エネと創エネによる1次エネルギー消費量の削減量に応じて4段階に分類。さらに、階層数に応じて目標水準を設定し、階数が少ない建物ほど目標水準を高く設定する。4階以上の建物では、屋上に積載できる太陽光パネルの数に制限があることを考慮した。

 ニアリーZEHマンションの認定を受けた大京のライオンズ芦屋グランフォートは、総戸数79戸で鉄筋コンクリート造の地上5階、地下1階建て。ニアリーZEHに準拠した大京独自の施工基準「ニアリーZEM(ゼム)」が評価され、2017年10月に国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されていた。

 今回の認定では、通常1―3階建ての建物の目標水準である、正味75%以上の1次エネルギー消費量削減が評価された。内断熱工法や熱貫流率の低い窓、サッシを採用し、全住戸の断熱性を向上。高効率の次世代燃料電池も全住戸に設置し、24―36%の省エネを可能にした。屋上には設置可能面積の限界まで太陽光パネルを設置し、1次エネルギー消費量の48%相当をまかなう。

 開発に携わった建設管理部商品企画室の中山雄生室長は「18年はZEHマンションの元年だ」とし、普及に期待を寄せる。大京は同物件の他にも穴吹工務店と共同で10棟以上の物件を申請しており、ZEH―Mの物件数は増える見込みだ。
(文・国広伽奈子)
日刊工業新聞2018年7月24日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
マンションの省エネ化がかなり進んできましたね。ZEH基準をクリアするために投資する分、物件価格は高くなると思うので、毎月の光熱費でどれだけ回収できるのかといったメリットを購入者側にわかりやすく伝えることが普及に向けては必要になりそうです。

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