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ワイファイ化進める「JR特急」、すべて教えます!

訪日外国人観光客の受け入れ環境充実待ったなし
ワイファイ化進める「JR特急」、すべて教えます!

JR北海道は今秋から千歳空港アクセスの「快速エアポート」に順次搭載していく

JR各社が訪日外国人の利便性向上を念頭に、列車内で無料の公衆無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」の提供を加速している。すべての新幹線に加えて空港アクセス列車や在来線特急、観光列車などでも計画が進む。政府は2020年4000万人を目標に掲げる訪日外国人観光客の受け入れ環境充実のため、交通事業者に環境整備を求める努力義務の範囲を拡充する方針。これに呼応して各社は計画を前倒ししてサービス導入を急いでいる。

 19年1月から国際観光旅客税(出国税)の徴収が始まる。出国時1回1000円の新税は、改正国際観光振興法で使い道が規定された。同法では交通事業者に対して、外国人の利用が見込まれる区間で、ワイファイや洋式トイレ整備など「外国人観光旅客利便増進措置」を講じる努力義務を盛り込んだ。

 改正前は山手線や各新幹線など鉄道で182区間を指定し、外国語案内など「情報提供促進措置」を求めてきた。今後、あらためて指定される区間では、利便増進措置を実施するための計画作成と実行が義務化される。

 特に無料のワイファイサービスはJR各社が、義務化に先駆けて環境整備に取り組んでいる。すべての新幹線で18年度中に開始し、当初各社が発表した計画を前倒して進め、19年度中にも、おおむね完了する見通しだ。通信事業者の協力の下、トンネル区間のような携帯電波不感地帯解消にも取り組んでいる。

 訪日客の多くが利用する空港アクセス特急は、JR西日本の「はるか」やJR東日本の「成田エクスプレス」が導入済み。JR西は特急だけでなく、関西空港アクセスの「関空快速」や大阪環状線新型車両「323系」でも提供している。JR北海道は今秋から千歳空港アクセスの「快速エアポート」に順次、搭載していく計画だ。

 特急ではJR東日本の「あずさ」、JR東海の「ひだ」、JR四国の「しおかぜ」なども導入を決めた。多くの外国人が初回の訪日観光ルートとして、新幹線を利用する東京―大阪間の“ゴールデンルート”だけでなく、各地方への送客拡大には、在来線特急の環境充実が欠かせない。

 観光列車も外国人からの人気は高い。JR九州は観光列車「D&S(デザイン&ストーリー)列車」で無料ワイファイを提供する特急列車を増やす。すでに「ゆふいんの森」ではサービスを提供。18年度内にも「あそぼーい!」や「指宿のたまて箱」で導入する。
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
列車内へのワイファイ環境は、スマートフォンを利用する外国人観光客へのサービスだけにとどまらない。きっぷの予約・購入や接続列車の運行情報提供などでインターネット環境は、今後の鉄道にとって欠かせないインフラになっていく。 (日刊工業新聞社・小林広幸)

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