水素社会実現へ超えなくてはいけない「住民の不安」という壁

国や企業が消費者との対話を強化

全国消費者団体連絡会が開いた水素関連規制に関する学習会

 燃料電池自動車(FCV)など水素技術の普及に向け、一般消費者の理解を促す取り組みが始まっている。水素エネルギーは環境負荷の小ささなどから国や企業が普及を急ぐ半面、一般層の理解は十分には進んでいない。水素を供給するステーションの設置などについて、安全面を不安視する声も存在する。国が目指す“水素社会”が実現すれば社会生活全体が変わるだけに、消費者側との丁寧な対話は不可欠だ。  「消費者に国の取り組みが伝わっていない」。水素関連規制を扱う政府の研究会で委員を務める消費生活コンサルタントの三浦佳子氏は、こう問題点を指摘する。政府は水素ステーションを2025年度までに全国320カ所に整備する方針。設置要件緩和などのため、経済産業省が運営する同研究会では規制改革に向けた議論が進むが、「十分な説明を受けずにいきなり近所にステーションができれば、住民は不安を感じるはず」と三浦氏はクギを刺す。  こうした要望を踏まえ、国や企業も対話の動きを強めている。7月4日に全国消費者団体連絡会が開いた水素関連規制に関する学習会には、経産省、自動車メーカー、エネルギー企業の関係者が講師として参加。水素エネルギーの活用意義や安全性、そしてリスクなどについて説明した。  特に関心を集めるのが、リスクの部分だ。学習会では主に企業関係者が科学的見地から水素のリスクと対策を紹介。自動車メーカー関係者は、水素を「漏らさない」「検知して止める」「漏れても溜(た)めない」をテーマにFCVを開発していることに触れつつ、「正しい知識と技術の力で安全に使うことが大切」と強調した。  11年の東日本大震災が福島第一原子力発電所の水素爆発を誘発した事実もあり、国民には“水素=恐ろしい”という意識が今なお根強い。推進側の政府や企業とは、認識にズレが存在する。対話を通じ正しい情報を共有することが、水素社会実現に向けた重要なポイントとなる。

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