ニュースイッチ

「ドローン」(無人航空機)の開発が花盛り

日本でも安全規則を策定へ
「ドローン」(無人航空機)の開発が花盛り

自律制御システム研究所と菊池製作所が量産する無人機

 無人航空機、いわゆる「ドローン」の開発が花盛りを迎えている。先行する米国では連邦航空局(FAA)がインターネット通販のアマゾン・ドット・コムに、ドローンの飛行試験を許可。日本でも千葉大学発の自律制御システム研究所(千葉市中央区)や、名古屋の中小企業らが無人機の開発・生産に取り組んでいる。趣味や報道といった分野に限られてきた無人機産業は、飛躍の時を迎えている。

 アマゾンは無人機を使った商品の配送を検討しており、今回の認可によって米ワシントン州で試験が可能になった。ただし、飛行高度は約120メートル以下に限られ、操縦者の目視の範囲内でしか飛ばせない、などの条件も付けた。FAAは2月には無人機の商業利用に関する規制案を公表し、無人機の安全規制を始めている。

 日本でも千葉大学発ベンチャーの自律飛行システム研究所(千葉市中央区)が、4月にも菊池製作所と共同で純国産の産業用自律型無人マルチコプター(複数回転翼の飛行ロボット)を量産する計画。菊池製作所の南相馬工場(福島県南相馬市)で生産し、自律制御システム研究所が品質検査後、出荷する。。
 量産するのはマルチコプター「ミニサーベイヤー MS―06LA」で、直径90センチメートル、高さ50センチメートル、重量3キログラム。六つのプロペラを回転させて最大6キログラムの荷物を運ぶ。最高速度は秒速10メートル。全地球測位システムを使った自動操縦で1回の最大飛行時間は20―30分。除染が必要な地域での放射線計測、橋梁・トンネル点検などでの活用を想定する。本体価格は1台200万―300万円(消費税抜き)で、今後はコスト低減を図り100万円台にする計画。南相馬では2016年に年間約1200台まで生産を引き上げる。

 一方、航空システム研究(名古屋市緑区)は、垂直離着陸と水平飛行が可能な自律型の「テールシッター」式小型無人機を開発した。4月にも実用化する方針だ。世界で産業用無人機の開発競争が激しくなる中、ヘリコプターと固定翼機の両方のメリットを併せ持つテールシッター式を提案し、需要を掘り起こす考え。
 開発したのは二つのプロペラを備える電動式の飛行機。全長約50センチ×全幅約160センチメートルで、重さは約3キログラム。小型カメラなど500グラムまでの荷物(ペイロード)を搭載できる。
 機首を上に向けた状態で垂直に離陸。ソフトウエアによって姿勢を自律制御し、上空で機体を90度回転して水平飛行に移行する。着陸時は再び機体を垂直にして降下。最高速度は時速約100キロメートルで、20分間の飛行が可能だ。火山の火口付近の撮影や山林・河川の観察、報道用の映像・写真撮影などに用途を見込む。垂直に離陸するため滑走路を必要としないのに加えて、固定翼機のような長い航続性能を両立できるのが特徴だ。

 こうした中、無人機に対して何らかの安全規制を設ける必要性が高まってきている。昨年4月には、名古屋で夜景を撮影していた小型無人ヘリが、繁華街に墜落する事故も起きた。
 業界団体の「日本UAS産業振興協議会」は、今夏をめどに無人機の民生利用に関するガイドラインを策定する予定。民間のガイドラインであるため拘束力はないが、策定段階では他の業界団体や関係省庁とも連携をとって検討を進める方針だ。
 同協議会は16年3月には、本邦初の無人機に関する本格的な展示会「ジャパン・ドローン2016」を幕張メッセで開催する予定。120社が参加する見通しだ。

 趣味や報道用途での利用が多かった無人機だが、今後は本格的な産業利用が進みそうだ。
日刊工業新聞2015年03月04日 機械・ロボット・航空機面記事などをもとに再編集
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
話題の「ドローン」に関してまとめました。この分野は海外企業の無人機開発なども合わせ、ほぼ毎日ニュースが生まれている状況です。ホットな分野であることには間違いありませんが、どれほど大きな市場になるのか・・・これからに期待です。

編集部のおすすめ