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従業員20人以下の企業めぐる政策議論、生産基盤の強化へ

経産省や中小企業庁
従業員20人以下の企業めぐる政策議論、生産基盤の強化へ

小規模事業者にどこまで届く政策にできるか(第11回小規模企業基本政策小委員会、6月29日)

 製造業のサプライチェーンをめぐり、従業員20人以下の小規模事業者を中心に据えた議論が経済産業省・中小企業庁で進められている。日本の製造業の担い手の多くが小規模事業者であり、「サプライチェーンの頑強化の鍵は小規模事業者が握っている」と見るにもかかわらず、その価値がよく認識できていない懸念が強い。

 企業庁は6月末、中小企業政策審議会(経産相の諮問機関)第11回小規模企業基本政策小委員会を開き、小規模事業者との取引や取り組み状況について意見を交わした。帝国データバンクの調査結果を提示し、小規模事業者についてどこまで“見えている”かを共有した。自動車メーカーのサプライチェーンは階層構造となっており、取引先数は最も多いトヨタ自動車で1万1007社、最も少ないマツダで1221社ある。自動車メーカーと直接取引しない、階層が離れた取引先ほど小規模事業者が多く、上位階層への依存度も高い傾向が確認された。

 マツダやSUBARU(スバル)は、自社で実施している小規模事業者との取り組みや課題などを紹介した。マツダは広島県の地場産業集積地でティア3(3次取引先)まで対象を広げ、協働で技術開発を進める。「技術をすり合わせてモノづくりを将来に継承していく」(藤川和久常務執行役員グローバル購買担当)と述べた。

 スバルの加藤洋一取締役専務執行役員は、電動車拡大に伴い「仕事量が大きく減少し存続の危機を迎える取引先の対応が今後の重要なテーマ」とし、「独自技術の取り組みなど従来ニーズ以上の技術開発が必要」と指摘した。自動車業界の構造転換を踏まえた小規模事業者政策の視点を訴えた。

 また別の委員からは、事業承継や人手不足による廃業リスクは「地域経済にとって大きな損失」との考えや「サプライチェーンや企業の枠を超えて情報をやりとりする仕組みを作る必要がある」との意見が出された。
(2018年7月5日 総合2面)
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
検討の成果は、地域経済の中核となっている中堅・中小企業や小規模事業者を支援するアプローチや繊維産業をはじめとする産地産業の維持、地域資源のブランド化などと合わせ、11月にまとめる報告書に盛り込み、小規模企業振興基本計画の改定に反映する。(山下絵梨)

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