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スズキがインドでたまごビジネス?

イセ食品とタッグ
スズキがインドでたまごビジネス?

一貫生産技術「イセインテグレーションシステム」を備えた養鶏場

 自動車メーカーのスズキと鶏卵メーカーのイセ食品(埼玉県鴻巣市)という異色コンビが中心となり、インドで2020年にも鶏卵事業の確立を目指す。同国に2拠点の養鶏場・鶏卵工場を新設し、軽トラックの保冷車を使い新鮮な卵を流通させる計画。同事業を中心として関連する食品、物流、エネルギーなど分野で同国での事業を推進する日本企業を支援する枠組みも新たに始動させた。

 イセ食品は鶏の育成から採卵、配送までの一貫生産技術を持つ。海外では米国のほか、ベトナム、タイなど東南アジアに進出。さらに人口13億人の巨大市場インドにも着目した。同国ビジネスの成功で有名なスズキに参入話を持ちかけ、タッグを組むことになった。

 すでに両社は現地法人「イセ・スズキ・エッグインディア」を設立。養鶏場などの拠点や流通システムなどの検討を進めている。

 拠点は西部グジャラート州と南東部テランガーナ州に設置する計画。規模は120万羽程度として、現地の電力事情を踏まえ、屋根に太陽光発電システムを併設し、停電時にも電力を確保できるようにする。

 生産した卵は、スズキの軽トラックをベースにした保冷車を使い、都市や農村部に配送することを想定。情報通信技術(ICT)を活用した、きめ細かい配車システムを構築する。スズキにとっては手薄だった農村部などに車販売を広げるメリットもある。

 また物流管理を徹底するため、問屋を避けて小売りに直接販売する。安心・安全な卵を強調し、高価格帯でのブランディングを徹底するという。

 両社の鶏卵事業では、食品、飼料、物流・流通、自動車、エネルギー、ソフトウエアなど多岐の事業が関わる。そこで両社は経済産業省、農林水産省などの協力を得て、「日印フードビジネス協議会」を設立した。関連する事業を進める企業をサポートしていく狙いだ。

 協議会は会員拡大を図るとともに鶏卵事業やコールドチェーンなどの各委員会を通じて調査研究を行う。
(文=編集委員・井上雅太郎)
(2018年6月27日 医療・健康・食品面)
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
ますますスズキがインドに根づいていきそうです。

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