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看板をひと工夫しただけ、従業員3人のパン屋が年間300万円の増収

100件以上の事例で「生産性向上策」を紹介
 中小企業庁は、2018年版中小企業白書・小規模企業白書を公表した(6月末から書店にて発売)。従来のように中小企業関連の最新データを分析するなかで、今回は特に生産性向上に取り組む中小・小規模事業者の事例を豊富に紹介する。

 多くの中小企業が深刻な人手不足に直面しており、今後、生産年齢人口が減少していく中、人手不足は恒常化しうる問題だ。限られた人手で事業を維持し、成長させていくためには生産性向上の取組が欠かせない。

 他方、生産性向上の必要性を認識していても、「何から着手していいかわからない」といった経営者の声も大きい。そこで、今回の白書では生産性向上の取組について、具体的なコストや効果を含む事例を100件以上紹介し、実践的な手引きとなるようにした。

 小さな工夫で大きな成果を得られた事例も数多くある。例えば、道路沿いという好立地にも関わらず、売上げ減少に悩んでいたパン屋が、消費者の目につくよう背の高い大きな看板に立替えたところ、認知度が高まり年間300万円の増収を実現した。

 白書では生産性向上に向けた取組として、業務プロセスの見直しや人材活用面の工夫、設備投資、IT利活用などの様々な切り口で分析し、それぞれのテーマ毎に具体的な取組事例を紹介している。

 経常利益が過去最高水準にあり、中小企業の景況感も改善傾向にある今こそ、未来に向けた投資を行い生産性向上に取り組む絶好のチャンスともいえる。白書の分析や事例をきっかけに、中小企業が生産性向上にむけた取組の端緒を切り拓いていくことが期待される。
                 
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
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