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ベンチャー型事業承継を促す団体が設立、20―30代の若手後継者が対象

先進的な承継や新領域へ挑戦を後押し
ベンチャー型事業承継を促す団体が設立、20―30代の若手後継者が対象

設立を発表する山野代表理事(中央)ら

 千年治商店(兵庫県芦屋市)やAllDeal(東京都千代田区)、大都(大阪市生野区)、マクアケ(東京都渋谷区)など国内企業や大学など11団体は25日、一般社団法人「ベンチャー型事業承継」を設立したと発表した。代表理事に千年治商店社長の山野千枝氏が就任した。

 ベンチャー型事業承継とは、若手後継者が家業の経営資源を生かし、新規事業領域へ挑戦すること。中小企業の後継者問題の解決手段として注目されている。同取り組みのさらなる推進を目指し、団体の設立に至った。

 団体は20―30代の若手の跡継ぎを対象に、国や金融機関からの依頼を受け、研修事業やイベントなどの教育プログラムを提供していく。その後は個別で事業化、資金調達、体質強化支援などに対応する。当面は事例紹介から、対象者に当事者意識を持ってもらうエコシステムの構築を目指す。

 山野代表理事は「ベンチャーといっても新規株式公開(IPO)などを目指すのではなく、地域に根を張り、新しいビジネスを起こすことで永続を図っていく」と目指す姿を述べた。
日刊工業新聞2018年6月25日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 大都の山田岳人社長は「(オーナー企業の)後継者は継がなければいけないという現実が迫ってくる一方で、どんなビジネスをやるかは選べないケースが多い」と話す。だが、若者のアイデアや的確な資金調達を融合させることで、既存事業を全く新しい事業やビジネスへ進化させることもできる。「ベンチャー型事業承継」は今後、そうした進化を促す場となる。また同法人は後継者がなんとなく描いている“アトツギ社長”への常識やイメージを刷新する狙いもある。まずは後継者同士の交流を深め、家業と向き合うことが最初の取り組みとなりそうだ。

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