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再生エネ電気を選んで購入できる環境整備に集まる出資

デジタルグリッドに17社、総出資額2億7000万円
 三菱商事、電力ベンチャーのLooop(東京都台東区)、鹿島子会社などの4社は、家庭や企業が再生可能エネルギーでつくった電力を取引できる基盤構築を目指すデジタルグリッド(東京都千代田区)に出資した。三菱商事とLooopは電力ビジネスの知見を基盤の運営に生かす。これでデジタルグリッドへの出資は17社、総出資額2億7000万円となった。すでに参画する東京ガスや京セラなど異業種が連携し、企業が再生エネ電気を調達できる環境整備に取り組む。

 デジタルグリッドは阿部力也会長(元東京大学特任教授)が2017年10月に設立した。阿部氏が開発した電力融通技術は電子メールのように電気を届けたい場所に送ったり、再生エネ電気を選んで購入できたりする。

 同社は融通技術を搭載した専用装置を設置した住宅やビルなどをネットワーク化し、家庭で余った太陽光パネルの電気を企業がまとめて調達できる基盤を19年春に開設する。三菱商事は発電や電力販売事業、Looopは再生エネ電気の販売やエネルギー管理事業のノウハウを基盤運営に活用する。

 鹿島子会社のクリマテック(東京都新宿区)は、建設業界から初めてデジタルグリッドに参画し、首都圏で専用装置を設置する。出資したもう1社は太陽光発電設備の施工事業を展開するタデック(愛知県常滑市)。同社は中京圏での専用装置の設置で協力する。

 再生エネ電気を求める企業が増えている。再生エネ100%での事業運営を目指す国際的な企業連合「RE100」に参加する日本企業もリコーやイオンなど7社に増えた。だが、日本では企業が直接、購入できる再生エネは限られる。こうした状況を改善しようと、デジタルグリッドへの出資企業が増えている。
 
日刊工業新聞2018年6月25日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
「再生エネ電気の自由な売買」。公の場であまり議論にはなっていませんが、電力ビジネスの世界では関心事のようです。最近、自由な調達のためのソリューションの話をよく聞きます。デジタルグリッドも一つ。三菱商事も出資しました。総合商社、建設、ベンチャーが次々と参加しています。再生エネを自由に購入できる環境への期待感が強いです。

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