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オンラインとオフライン融合、アリババが進める「新小売」とは

ローソンもセルフ決済展開
オンラインとオフライン融合、アリババが進める「新小売」とは

アリババの生鮮スーパー「盒馬鮮生」は店舗をECの物流拠点として捉えている

 中国でIT技術や電子商取引(EC)などと組み合わせた小売り店舗が増えている。背景にはコスト削減や差別化とともに、ビッグデータをマーケティングなどに用いる狙いがある。

 中国でEC最大手の阿里巴巴(アリババ)集団は生鮮食品スーパーマーケットにEC、飲食店などの機能を組み合わせた「盒馬鮮生(フーマーシェンシャン)」を上海市などで49店舗運営している。店舗から半径3キロメートル以内であれば、スマートフォン経由で注文を受けてから最短30分で商品を配達する。商品は店舗内で食べることもできる。

 同社はオンラインとオフラインを融合し、ビッグデータやテクノロジーを活用する「新小売」を新戦略の一つに掲げる。盒馬鮮生はその取り組みの一つだ。

 上海市内の「酷舗智能」は無線識別(RFID)技術を使った無人店舗。専用のアプリで入店し、読み取り機にRFIDが付いた商品をかざすと価格が表示される。中国の電子決済サービス「微信支付」などで支払う仕組みとなっている。

 ローソンは上海市と近隣地域の店舗に、スマホを用いたセルフ決済サービスを導入した。来店者がスマホでバーコードを読み取り決済までするシステムで、混雑時にレジに並ばず会計ができるメリットがある。ローソンは日本にこのシステムを“輸入”し、3月末から一部店舗で実証実験をしている。

 競うようにITを導入している中国と比べると、日本の小売りは様子見の状況だ。現金決済が主流な点や、万引のリスクなどを勘案していると見られる。
日刊工業新聞2018年6月7日
江上佑美子
江上佑美子 Egami Yumiko 科学技術部 記者
ただ、中国以上に人手不足が深刻な日本でも今後、無人化や省人化を目指し、実店舗の利点を生かした上でITの活用が求められる。

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