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シェアハウス「かぼちゃの馬車」、倒産までの流れを分かりやすく解説

破綻に連鎖する形で行き詰まる企業が出る可能性も
シェアハウス「かぼちゃの馬車」、倒産までの流れを分かりやすく解説

女性専用シェアハウス投資が社会問題化することに(写真はイメージ=PIXTA)

 女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」運営のスマートデイズは、4月9日に民事再生法を申請した。1月以降、物件オーナーへの賃料支払いが止まり、多額の借金返済に窮するオーナーが続出するなど、シェアハウス投資が社会問題化する中での破綻劇だった。

 同社は、寄宿舎型シェアハウスの販売・サブリースを手がけるパイオニアとして、短期間で業容を急拡大させた。2014年7月期に8億5000万円だった年売上高は、約2年半後の17年3月期には316億円に急伸。上場も視野に入れるなど、事業は順風満帆かに見えた。

 しかし17年10月、情勢急変が表面化。当社が毎月払うサブリース賃料の減額が通知され、その背景として金融機関からオーナーへの融資方針の変化が示唆されていた。

 後に明らかになるのだが、同社の物件オーナーに計1000億円を超える融資を実行していたのがスルガ銀行だった。

 同社のビジネスモデルは、オーナーへの融資が滞ることになれば成立しない。この間、シェアハウスの部屋数は急拡大していたが、肝心の入居率は計画よりも大幅に低い水準にとどまっていた。

 新規の物件売却で得た収入を、既存オーナーへの賃料支払いに充てる“自転車操業”は、年明けにはすでに限界を迎えていた。

 後の債権者説明会において、不透明な資金の流れなどを指摘する声があがるなか、再生計画作成のめどが立たないなどの理由から、4月18日には民事再生の申し立てを棄却され、5月15日には破産手続き開始決定を受けた。

 今後は破産手続きの中で、関連企業に対する責任追及がなされ、一連のビジネスモデルが抱える問題点も明らかになるだろう。

 これらの業者の中から、同社破綻に連鎖する形で行き詰まる企業が出てくるおそれは十分ある。
(文=帝国データバンク情報部)
<企業概要>
(株)スマートデイズ
住所:東京都中央区銀座1-7-10
代表:赤間健太氏
資本金:11億20万円
年売上高:約316億円(17年3月期)
負債:約60億3500万円
日刊工業新聞2018年6月5日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
個人的にはこれからスルガの経営がどうなっていくか最大の関心事。地銀経営の苦しさを改めて浮き彫りにさせた。再編の引き金になるか。

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