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完売モデルも。kawasakiの飽きさせない”バイク開発に迫る

さらに技術部門の層を厚く
  川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニープレジデント・太田和男氏に聞く。

 ―市場環境をどのように見ていますか
 「先進国では市場全体のパイが縮小する中、当社は趣味性の高い排気量250cc以上の車種を主力製品としている。2018年3月期は台数が減少したものの、売り上げは少し増えた。高価格帯が注目されるのが理由と考える。こうした流れは先進国から新興国へと波及することが多い。新興国市場での当社の18年3月期は、台数増も売り上げ減だった。今後、高級な製品を求めるニーズが高まり、台数も売り上げも増加するような動きが続いてほしいし、そうなるよう努めたい」

 ―注力するテーマは。
 「少し風向きが好転している先進国市場は、もっと魅力的な製品を投入すべく、開発力を高めたい。良い品を多く発売するには、バイクに関わる技術動向をどれだけフォローアップして製品に反映できるかが肝。スポーツバイク『Ninja400』やレトロスポーツモデル『Z900RS』の好評は、その活動の成果だ。今後製品投入のスピードを速めるため、そのために技術部門の人員の層を厚くする」

 ―国内では販売店を増やすなど攻めの姿勢を続けています。
 「販売店の増加はお客さまと接することができる機会を増やすということ。ただ、店舗増だけでなく製品開発も重要だ。売れるモデルを開発し、数が増え続けている店舗で触れあってもらうことで、存在感を高めたい」

 ―17年、インドに新工場を設けました。
 「新工場は従来のインド工場より生産能力を約3倍に引き上げた。従来の生産車種に加えて、排気量1000ccクラスの『Ninja1000』の現地生産もスタートした。インド市場および周辺市場の2輪車需要の活性化に対応するのはもちろん、現地でより低コストな生産を進めて、競争力を高めたいのも工場新設の目的の一つだ。コストダウンのため、部品の現地調達を加速させる。日本から技術者を派遣し、部品を精査。サプライヤーと詰めながら部品や製品の質向上を図る」
日刊工業新聞2018年5月29日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
川崎重工業は毎年モデルを発売し、陳腐化を防いで、ユーザーを飽きさせない製品の投入を続けている。ネオレトロや中排気量のスポーツモデルなどトレンドも反映し、製品の中には完売したものもあるなど、人気が高い。独自のポジションからファンの多いカワサキが今後、どのような動きを見せるか興味が膨らむ。 (日刊工業新聞・山田諒)

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