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デジカメ不振の中で、プリントできる「チェキ」の快進撃続く

今年度販売900万台狙う。富士フイルムは生産能力増強へ
デジカメ不振の中で、プリントできる「チェキ」の快進撃続く

「インスタックススクエアSQ6」

 富士フイルムは「チェキ」の愛称で知られるカメラ「インスタックス」シリーズの販売台数について、2018年度に前年度比約17%増の900万台を目指す計画を明らかにした。欧米を中心に全世界で拡販する。

 これに伴い、神奈川工場(神奈川県南足柄市)でフィルムの生産能力を2割増強することも決めた。

 助野健児社長は「欧米、中国や新興国を中心にインスタックスブランドを定着させたい」と意欲をみせた。

 インスタックスシリーズは、撮影したその場で画像をプリントできるカメラ。海外を中心に若年層に人気で、17年度には770万台を販売した。

 25日には自動で明るさを調整する露光調整や自撮り機能など、これまで複数機種に盛り込んでいた機能を一つに集約した新製品「インスタックススクエアSQ6」を発売する。新製品の投入などで需要をさらに喚起する。

 デジタルカメラ事業ではカシオ計算機はが汎用のコンパクトデジタルカメラ事業から2017年度で撤退した。コンパクトデジカメの売上高はピークだった07年度の1300億円から17年度は123億円まで激減、営業赤字も16年度の5億円が17年度は49億円に拡大し、回復は厳しいと判断した。

 カメラ付きスマートフォンの急速な普及と画質向上が撤退の背景。「4―5年前はスマホカメラと画質で差別化できていたが、画質向上で難しくなった」(樫尾和宏社長)という。

 「チェキ」はどこまで独自色を打ち出し成長できるか。
日刊工業新聞2018年5月16日の記事に加筆
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
何万枚写真が撮れる時代になっても、アナログだからこその熱量がある。どんなにデジタルが普及していても、ライブなどに多くの人が行く。一方で、デジタルは世界中に共有できるし、今まで難しかったものを表現できるようになった。そういうデジタルとリアルの境目がなくなりつつある時代に生きている中で、そこをうまく活かした体験値の高いサービスが増えてくるだろう。

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