「文系不要論」に待った!ジェンダーの視点で新たな学術開拓へ

男女共同参画推進ネットワークが動き出す

 人文社会科学系の研究者の男女共同参画推進ネットワークが動き出した。自然科学系より女性比率が高く、ジェンダー(社会的・文化的に形成された性別)問題もどこか人ごとだった状況から転換する。研究にジェンダーの視点を導入し、新たな学術の開拓につながると期待したい。  これは2017年に日本学術会議から立ち上がった「人文社会科学系学協会男女共同参画推進連絡会」(ギース)だ。会員数は数百―数千人と幅があるものの、50超の多様な学会や協会が加盟する。  実は研究者のジェンダー問題は、自然科学系の「男女共同参画学協会連絡会」に歴史がある。各学会の規模が大きく活動余力があり、国の科学技術基本計画も後押ししたのが理由だ。  これに対し、人文社会科学系は女性が多く、問題になりにくかった。ギースは自然科学系の取り組みを参考に、大規模アンケートを近く行う。男女の就業形態やライフ・ワーク・バランスなど、項目をそろえ比べる計画だ。ギースの井野瀬久美恵委員長(甲南大学教授、日本学術会議前副会長)は「学会の多様性を口実に無頓着なケースもある。しかし他の学協会の実態やグッドプラクティスを知ることで、改善に動ける」と強調する。  例えば、会員数約3000人、女性比率33%の日本教育学会のケースだ。同学会は52人の理事の選挙時に、男女比など参考データを会員に送付。その結果、理事の女性比率が08年の8%から、17年の23%に向上した。  一方、学術研究におけるジェンダー視点では、会員約8200人で女性比率45%の日本心理学会が先駆だ。フェミニズム心理学など、専門家以外にも響くテーマが強みだ。    ギース加盟を機に、初めてジェンダーを正面からとらえたシンポジウムを開くのは、日本西洋古典学会だ。テーマは「古代ギリシア・ローマ世界におけるジェンダー・イクオリティー」で、男女共同参画の理念をギリシャ哲学で検討するなどユニークだ。人文社会科学系ならではの好影響を期待したい。

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