電池だけで30年までに1.5兆円の投資、トヨタは資金をどう捻出する?

提携と原価改善に一段と踏み込む

左から小林耕士副社長、豊田章男社長、寺師茂樹副社長

 トヨタ自動車が設備や研究開発への積極投資を進めている。自動車産業では、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)分野の存在感の高まりが100年に1度と言われる大変革を迫り、「『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている」(豊田章男社長)状況。2018年3月期連結決算で売上高と当期純利益が過去最高を更新したトヨタといえども、大競争時代の生き残りに必死だ。  「バーは越えられたが揺れている」。トヨタの小林耕士副社長は9日に都内で開いた会見で、18年3月期の業績を為替差益などを踏まえ、走り高跳びに例えてこう表現した。 18年3月期は売上高29兆3795億円(前期比6・5%増)、当期純利益2兆4939億円(同36・2%増)と好調に推移。グループ世界販売台数も1044万1000台(同1・9%増)と過去最高を更新し、着実に成長している。  ただ、販売台数では先行する独フォルクスワーゲン(VW)や日産自動車・仏ルノー・三菱自動車の3社連合などとの競争が激しいうえ、CASE分野の本格化で米グーグルなどのIT大手、新興企業の参入も活発化。これまでになく熾烈(しれつ)な戦いを強いられている。  小林副社長は「稼ぐ力をつけておかないと、先行投資に振り向けることができない」と危機感を隠さない。  そのため、現在と将来を見据えた投資を硬軟織り交ぜて、大胆に進める。19年3月期予想では、設備投資で1兆3700億円(前期比5・2%増)、研究開発費で1兆800億円(前期比1・5%増)をそれぞれ計画。  新設計思想「TNGA」の適用車拡大への対応などで、設備投資は過去最高だった06年3月期の1兆5288億円に迫る水準だ。研究開発費はCASEの進展により、過去最高を更新する見込みだ。  ただ、資金が潤沢なトヨタでも自社ですべての分野をカバーできない。そこで、17年に資本・業務提携したマツダとは折半で約16億ドル(約1700億円)を投じ、米アラバマ州に年産能力30万台の合弁工場を21年に稼働する。  デンソーを加えた3社で新会社「EV C・A・スピリット」(名古屋市中村区)も設立し、軽自動車から小型トラックまでの電気自動車(EV)の基盤技術を開発している。  さらに30年に電動車550万台以上を販売する目標を達成するため、パナソニックとは基幹部品の車載用角形電池事業で協業を検討中。「電池だけで30年までに研究開発、設備を含めて1・5兆円の投資が必要」(寺師茂樹トヨタ副社長)という電動車対応の巨額投資と部品調達を、パナソニックとの関係強化でカバーする戦略だ。  米国で1月に公開した次世代電気自動車(EV)「e―パレットコンセプト」にはCASEのすべてを盛り込んでおり、20年代前半にさまざまな地域でサービス実証を始める。実用化に向けた投資を今後、急ピッチで推進するとみられる。  自動運転技術では、「車両に実装する段階でお金がかかる」(トヨタ幹部)。そのため、3月にはデンソー、アイシン精機と共同で自動運転技術の先行開発を担う新会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI―AD)」をトヨタの東京本社内に設立。開発投資に3000億円以上の巨額を投じ、商品化に向けて走り出した。 (文=名古屋・今村博之)

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