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2週間かぶれない「生体電極」でビッグデータ取得

アイ・メデックスが開発
2週間かぶれない「生体電極」でビッグデータ取得

自社開発した密着性が高い生体電極(右)と防水タイプのコネクター

 アイ・メデックス(千葉市花見川区)は、2週間はがれず皮膚もかぶれない生体電極をビッグデータ(大量データ)取得用に開発した。密着性が高く、透過性に優れた素材を自社開発することで実現した。脈拍や体温、血圧などのビッグデータをIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)で活用し、新しい事業の創出に結び付ける。

 生体電極を使用する場合、対応期間は24時間が一般的という。これに対し、データをより長期間にわたり、安全・安心に取得するためには密着性を高めるとともに、皮膚がかぶれない透過性に優れた素材が必要となる。

 これまでアイ・メデックスは市販の素材を使用してきたが、長期間・安全・安心にビッグデータを取得するニーズの高まりに対応するに際し、市販品では対応できないことから、自社開発に切り替えた。今回の新素材と製造技術について特許を出願している。

 この生体電極は防水性で、大きさは横90ミリ×縦50ミリメートル、厚さは60マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と、同社従来商品と比べて3分の1以下にした。今後は改良を進め、自社ブランド「マイローデ」の主力商品として、使用目的に応じてカスタマイズして供給する。1カ月対応の商品を開発する計画だ。

 一方、生体電極と計測装置を接続する防水タイプのコネクターも開発した。今回の生体電極と併用すれば、水中でのデータ取得も可能になる。ワイヤレス化もできる。
 
 同社の営業拠点があるフランスで5月後半から開かれるベンチャー企業の展示会に出品し、国内だけではなく、欧州市場でも拡販する。従来の医療だけではなく、ヘルスケア全般、スポーツなどビッグデータの活用が期待できるさまざまな分野を開拓していく。
日刊工業新聞2018年5月1日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
アイ・メデックスは国内唯一の生体電極専業メーカー。市田信七会長は「平成29年度千葉県科学技術功労者」に選出されています。

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