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相次ぐ副業導入、企業はどう生かす?

各社、効果を見極め
相次ぐ副業導入、企業はどう生かす?

「副業の解禁は時代の要請」(写真はイメージ)

 大手企業による副業制度の導入が相次いでいる。通信事業会社のソフトバンクや消費財メーカーのユニ・チャームなどが副業制度を取り入れており、業界を超えて副業解禁への動きが広がっている。

 社員のさらなる成長を目指してユニ・チャームが副業制度を始めてから、約1カ月。社員からは「どんな業務をしてよいのか、ボランティアはどうなのか、時間管理はどのようにするのか」など10件程の問い合わせが来ているという。

 入社4年目以上の正社員が対象で、対象者は1500人。ホームヘルパーやキャリアカウンセラー、国家資格などを生かした副業を想定し、個人の技術向上や成長につながる副業が対象だ。

 異なる環境で新たな技術や専門性を身につけたり、能力を発揮する機会や人脈を広げる機会を得たりすることで社員の成長を支援する。就業時間外や休日を副業可能とし、健康管理の観点から24時以降の勤務は禁止だ。

 2017年11月に副業を許可したソフトバンクは、3月末までに210件の申請を承認した。本業に影響のない範囲でスキルアップや成長につながる副業について、会社の許可を前提に認めている。

 大学セミナーへの登壇や書籍の執筆、技術系ではスマートフォン向けアプリケーションのプログラミングなどを許可したという。

 社員からは「社内ではできないが、興味を持っている仕事ができる」と好評だ。お金稼ぎが目的の単純労働や休み時間がほとんどなくなってしまう過重労働は禁止。雇用契約を結ぶ形態も禁じている。

 コニカミノルタも17年12月から兼業・副業制度を始めた。この制度によって得た知見や経験を通じ、「自社のイノベーション創出につなげていく」(同社)ことが狙いという。申請にあたり入社年次での制限はなく、起業やITプログラマーなど専門性の高い分野での兼業を想定している。3月末時点で11人が認定された。

 NTTデータ経営研究所情報戦略事業本部の加藤真由美シニアマネージャーは「昨今、多くの企業が柔軟な働き方を実現し、従業員の貢献意欲や幸福感を高めようと働き方改革に取り組んでいる。人生100年時代、多様なライフスタイルの従業員の活力を最大化する副業の解禁は、時代の要請といえる」と分析する。

 1日24時間と限られた時間の中で、本業で精いっぱいという声も多い。働き方改革というと長時間労働の是正に軸足を置きがちだが、副業導入によって個人が成長すれば、働く人と会社にとって一石二鳥の取り組みだ。
(文=高島里沙、水嶋真人、杉浦武士)
日刊工業新聞2018年4月26日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
まずもって「副業」という言葉がよくない。

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